阪神・藤浪の粘り腰、完全復活予感させた 制球乱しても味方のミスにも平常心

 阪神・藤浪晋太郎投手(26)がプロ初の開幕投手を務めた26日のヤクルト戦(神宮)で5回2失点と粘投し、チームに今季初白星を呼び込んだ。三者凡退は初回の一度だけ。5安打5四球2暴投に味方の失策も絡んだが、2度の失点イニングは最少失点で切り抜け、逆転を許さなかった。昨季後半の先発復帰後から安定した投球を続けており、復活を予感させた。

 藤浪の粘り腰から、開幕星への執念が伝わってきた。プロ9年目で初の大役。マウンドさばきに、自覚がにじみ出る。制球を乱しても平常心を貫き、味方のミスもカバー。開幕直前に負傷した右手親指も、今年から硬くなった敵地・神宮のマウンドも気にするそぶりはない。大舞台で本来の“ずぶとさ”を取り戻したように見えた。

 「自責2、失点2」が粘投の証しだ。昨季は11試合に先発し、自責30に対して43失点を数えた。味方の失策からリズムを崩してしまう場面が見られたが、あの夜は違った。拙守が絡んだ三、四回の無死一、二塁のピンチで動揺を見せず、冷静に無失点で切り抜けた。

 「最少失点」も今年のキーワードとなりそうだ。昨季の先発で失点した19イニングの内訳を見ると1失点は約3分の1で、複数失点するケースが多かった。開幕戦では二回1死満塁からの二ゴロが併殺崩れとなる間に同点とされ、投手の小川を四球で歩かせたが坂口を3球三振。暴投で同点としてしまった五回も最少失点で食い止め、大量失点を回避した。昨季前半のように突然急変することはなく、ゲームメークができていた。

 今の姿は昨秋の延長線上にある。中継ぎを経て先発に復帰すると、3試合計15イニングを1失点(自責0)、防御率0・00。白星こそつかめなかったが、今年への期待を抱かせた。今春もキャンプ、オープン戦の実戦6試合で21イニングを投げ防御率2・14。昨季からキープする安定感をシーズンでも示した形だ。

 思い返せば、8年前にプロ初先発したのも神宮だった。初回、味方の失策からプロ初失点を喫し、6回3安打2失点(自責1)で黒星。「ミスは誰にでもありますし、ピッチャーも四球を出す。それをカバーできなかったので、今後しっかりできるようにしたい」。試合後、18歳は謙虚にそう語った。あれから8年。完全復活の時は確実に近づいている。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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