藤田平氏 かつての阪神は守備が上手かった「足で捕り、足で投げる」
阪神は今季も悲願の優勝には手が届かなかった。チーム成績は2位ながら、巨人には8勝16敗と大きく負け越し、7・5ゲーム差の独走Vを許した。宿敵を上回るには、どこに課題があるのか。優勝へのカギは何か。監督経験者らレジェンドOBが分析する。第2回は藤田平氏の声を3回連載で。
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かつて阪神は、守備が上手(うま)いチームとして通っていた。私の先輩では、吉田義男さんや三宅秀史さん、鎌田実さんといった内野の名手がいた。当時、試合中のグラウンド整備は七回の1度だけ。内野の土は、ガタガタの状態が多かった時代だ。
今年のチームは85失策で3年連続両リーグワーストとなった。甲子園は土のグラウンドだが、言い訳にならない。昔はエラーでもしたら、グラウンドキーパーの方に厳しく怒られた。今は三、五、七回の3度も整備される恵まれた環境なのだ。
守備が良くない原因はいろいろ考えられる。その中でまず共通して言えることは、足が動いていない。「足でボールを捕る」「足でボールを投げる」のだ。練習から常に打球の正面に入る意識を持つこと。打球に対して、グラブだけ差し出すような楽をしてはならない。投手と同じように野手も下半身が大事なのだ。
また、手本がいないのも大きい。例えば私は、吉田さん、三宅さん、鎌田さんらの技術を目で見て盗めた。しかし、鳥谷が今シーズンからロッテへ移籍した。今の内野陣は糸原、大山、木浪ら若い選手ばかりとなってしまった。
ただし、手本がいないから、で済まされる話でもない。首脳陣は、まず練習メニューなども考えていかないといけないが、基本に対する意識を徹底して植え付けさせていくしかない。基本とは、先に触れた「足を使う」「打球の正面に入る」といった点。野球を始めた頃から言われ続けているであろうことだ。
そして、もう一つ。宮崎でのフェニックス・リーグで小幡が一塁を守っていた。守備で飯が食えるほどの可能性を持った選手だ。守備固め、出場機会など、いろいろ理由があるのだろうが、小幡の守備力を考えれば遊撃専念で鍛えていくべきだ。
それは同時に激しい競争を生む。小幡を遊撃のレギュラーを狙わせるほどに鍛えていくことは、木浪にも刺激となり相乗効果となる。そういう競争原理はプロ集団として必要なことだ。チームのレベルアップ、底上げというものは、そういうところから生まれてくることを付け加えておきたい。
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