【佐藤義則氏の眼】阪神・藤浪「162キロ投法」マスターを!!
「阪神1-1ヤクルト」(19日、甲子園球場)
阪神・藤浪が七回に登板して、162キロというボールを投げた。本当に素晴らしい球だった。今、彼が持っているものの中で、最高のタイミングで腕を振ることができたと言える。
フォームに関して目立ったところでは、左足を上げる時、膝を地面から垂直方向でなく、軸足(右足)よりもさらに右、左腰をひねるような感じで中堅方向へ上げている。
藤浪にとってタイミングを取りやすい足の上げ方にたどり着いたのだろう。その“効能”については、本人に確認するしかないが、思うに左膝を真上に上げてから体重移動に入ると、上体の突っ込みが早まり、最後に手が出てこない。左足が着地するまでのタメを作って、そこから気持ちよく腕を振るための足の上げ方に見えた。
工夫や鍛錬で、さらにスピードを上げられる可能性があるが、まずはこの日の162キロのタイミングを完全に自分のものにすることを優先させてもらいたい。
セットアッパーはもったいない。藤浪にはやはり、先発で勝つ投手になってもらいたい。先発となると、すべてを全力とはいかない。変化球も増える。そこで陥りがちなのが、緩い球を投げる際に肘が下がり、その肘の高さがスタンダードになってしまうというリスクだ。
藤浪がこの162キロのタイミング、腕(肘)の高さを完璧にマスターした上で、力を抜いて150キロ、力を入れて160キロを投げるコツをつかめば、いくらでも勝てるピッチャーになるはずだ。