阪神・井上 プロ初安打!聖地初打席で初打点 高卒ルーキーでは68年の川藤以来

 8回、プロ初安打、初打点となるタイムリー二塁打を放つ井上
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 「阪神5-0ヤクルト」(16日、甲子園球場)

 将来の大砲候補に甲子園初打席で待望の一本が飛び出した。阪神ドラフト2位ルーキーの井上広大(こうた)外野手(19)が八回無死一塁から代打で登場。ヤクルト・久保から右中間へ、球団の高卒新人野手では1968年・川藤幸三以来となるプロ初安打初打点の適時二塁打を放った。若虎の一打で快勝劇を締めくくり、チームは連敗を3で止め、貯金1とした。

 やはり井上は甲子園の申し子だ。聖地でのプロ初打席。1万1605人の夢を乗せた打球が中堅・田代の頭上を越えていく。二塁塁上では、緊張の色も解けた背番号32は右手を挙げ、頬を緩ませた。

 「まさか1年目で自分がこの舞台に立てると思っていなかった」。初めてお立ち台に上がった19歳の本音だ。ハイライトは4点リードの八回無死一塁。代打で登場した井上は5球目のツーシームを強振。球団の高卒新人野手では68年・川藤以来となる初安打、初打点を同時にマークした。

 プロ8打席目での記念打。やはり甲子園に愛されているのか。「自分の中では思い出に残るというか、忘れられない」。矢野監督からも「何も考えずに思い切っていけ」と助言を胸に秘め、好結果へと結びつけた。

 「将来、甲子園に行ってプロ野球選手になりたい!」-。小学校の卒業文集で井上が思い描いた未来予想図だ。将来の夢は誰もがかなうものではない。それでも井上は書き残した夢を信じて、野球に打ち込んできた。

 プロ野球を目指した裏側にはライバルの存在も大きかった。小2から始めたソフトボール。ANTブルージェイズ時代、1学年上の谷本英駿さんという選手がいた。「この人を抜かないと勝ち抜けない」。芽生えたのは闘争心。谷本さんの父が監督を務めていたこともあり、よく2人で夜間練習に励んだという。

 「通常練習のない日にも監督が付き添ってくれた。そういう人との出会いが何か運があったのかなとも思う」。このライバルや練習に付き添った監督の存在なしには卒業文集に「甲子園」、「プロ野球選手」という言葉を明確に記すことはなかったかもしれない。

 昨夏の甲子園大会決勝で星稜・奥川(現ヤクルト)から3ランを放った以上に虎党に「井上広大」を印象付けた一日となった。喜びを真っ先に伝えたい人を尋ねられ「お母さんです」と笑顔をにじませる。ドラフト指名から1年がたとうとしているが、タイガースの一員として戦う覚悟はもう、十分備わっている。

 「阪神タイガースを日本一に導けるように」。35年前の1985年に神宮でリーグ優勝を決めた10月16日、熱烈な虎党の前で高らかに誓った。真のスタートラインに立った井上。目標は本塁打王、日本一。夢は始まったばかりだ。

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