【岡田彰布氏の眼】阪神・遥人が14三振奪えた理由 勝てる投球覚えたのでは
「阪神6-1巨人」(5日、甲子園球場)
阪神・高橋の野球人生の中で最高のピッチングだったのではないだろうか。まさにターニングポイントとなり得る完投勝利だったと思う。中でも巨人打線から14三振を奪えた理由は、ストレートと変化球の緩急差がなくなったところにあると感じた。
これまでは直球のアベレージが148キロ前後で、カットボール、落ちるツーシームが138キロ前後だった。しかしこの日は、ストレートのアベレージが140キロ前後。バッターの目線の動きや反応を見ていると、直球と判断したボールが変化したり、逆に変化すると思ったボールがノビてくるなど、この3球種の判別がつかなかったのではないかと思う。
こういう投手は実際に打席に立ってみると、非常にやっかいだ。初回、先頭の吉川尚に初球をクリーンヒットされたことで、“より丁寧に”という意識が出たと考えられるが、全ての球種を同じ球速で、同じ低めのゾーンに集められると、簡単に狙い球を絞れない。
そして時に力強い真っすぐが高めに行く。これを新たなスタイルとして確立できれば、狙って三振を奪うのではなく、自然と三振が取れる。さらにボールが先行するシーンもほとんどなく、自ら崩れる心配もない。中5日で無四球完投勝利。最も勝てる投球を、肌で覚えたゲームだったのではないだろうか。
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