プロ意識とは…?自力CS進出危機の虎にレジェンドOBが問う

 CS進出を目指す矢野阪神が先週末、目の上のたんこぶ広島に負け越して自力での出場が大ピンチに陥った。6日の初戦で高橋遙が自己最短KOを食らい、2戦目を西の粘投で取り返したものの、最後の8日はジョンソンの前に打線が沈黙。この直接対決が最後のヤマ場とみていた小山正明氏は「残念の一語」とした上で「やっぱり打てない。ボール球に簡単に釣られる打者陣を含め、阪神ナインのプロ意識を問いたい」と嘆く。今季残りは15試合。5位・中日が迫る緊急事態の中、虎の試練はまだまだ続く。

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 14年ぶりのリーグVの夢が早々に消え、残る目標はCS進出だけだったが、3位・広島との直接対決に負け越し、その差は致命的とも言える「3・5」に広がった。10日にも自力での進出が消滅、眼下の中日に0・5差に迫られ、5位転落も現実味を帯びてきた。DeNA、広島と続いた6連戦を2勝3敗1中止という結果に終わった背景には一体何があるのか…。舞台裏はうかがい知れないが、ソラーテの職場放棄から解雇濃厚にまで発展した“事件”も含め、内部のゴタゴタにも起因しているのだろう。異常なほどの猛暑とは裏腹に、阪神には少し冷たい秋の風が吹いている。

 毎週恒例?となった現役320勝のレジェンドOB・小山正明氏とのボヤキ合戦も、今回は嘆きの方が強かった。「しかし、残念の一語、やね。DeNA、広島と続いた6連戦がCS進出に向けた最後のチャンスやったのに、負け越しやろう。誰も手を抜くはずもないこの土壇場で結果を出せないというのは単純に力不足、としか言いようがない」。嘆きよりほぼ諦めの感だったが、そこから溜まりに溜まった“マグマ”が一気に噴出された。

 -DeNA、広島の上位2チームに●○●○●の2勝3敗。オセロのような勝ち負けでしたが、全勝を目論んで敵地に乗り込んでいっただけに、やっぱり残念な結果でした。

 「ほんとにそうやで。DeNAとの初戦が中止なった次の試合(4日)でサヨナラ負けしたやろう。能見が筒香に打たれて…まあ、それ自体は仕方ないと思うが、そこまでに至る過程が問題や。先に4点をとっておきながらの逆転サヨナラ負けやから普通の負けとは全然違う。完全な勝ち試合を落としたことが、結果的に2勝3敗につながったんちゃうか」

 -借金3の次の試合を拾えば勝率5割復帰が見えてくるのに、そこで必ず負けてしまう。8日の広島24戦(マツダ)もそうで、苦手ジョンソンを攻略できずに惜敗でした。

 「2桁勝って防御率も2点台前半の投手やからそう簡単には打てん。ただ、それを崩す工夫をしとったかと言えば疑問符が付く。阪神の打者で目に付くのはとにかくボール球を振る、ということ。ボール球はいくら打ってもヒットにはならんのやで。ストライクゾーンというのは、裏を返せばヒットにできるゾーンのことをいう。そこから外れる球を打つこと自体難しいのに、それをヒットにするのは曲芸に近い。みなプロなんやから、この理屈はわかってると思うが…。阪神の打者を含めみなに『プロ意識とは何ぞや?』ということを問うてみたいね」

 3月末の開幕以来、矢野阪神の課題は「得点力不足」であると言われ続けてきた。4番に若い大山を固定し、その脇を糸井と福留というベテランで固めた打線を組んできたが、8月に入って糸井が故障で離脱、大山も不振で打順降格となり、ついにはスタメンすら外れる事態に至った。テコ入れ策で獲得した新助っ人・ソラーテは最初にインパクトを残したがそれっきりで、挙げ句、半ば“職場放棄”の形で球団から去ることが濃厚になった。チーム防御率12球団トップの投手力を擁しながら、脆弱な打撃陣が足を引っ張る構図-を脱することができないまま、シーズンの最終盤を迎えてしまった。

 まだまだ小山氏のボヤキ節が続く。古巣への愛情が深い分、現状が歯痒くして仕方ないようだ。もちろん、それは阪神報道を主眼とする我々とて同じ事。9月上旬の段階でストーブリーグに突入されては本当に困る。残り15試合、何としても最後の一花を咲かせてもらいたい。

 -8日の試合では先発・岩貞を4回2失点で交代させ、五回裏からドリスを投入。1点ビハインドの八回にはジョンソンまでつぎ込みました。矢野監督の姿勢は評価できると思います。

 「そらそうなんやが、何でもっと早くそれをせんのや‼と僕は言いたいね。試合数が少なくなってからでは遅い。少なくとも残り30試合の段階から目の前の勝てる試合を確実に拾っておけば、もっと違って展開になったと思う。残り15試合やろ?もう毎日が総力戦でいい。自慢の投手力を惜しまずつぎ込んで全部取る、くらいの意気込みを見せてほしい」

 -見せてくれますかね(苦笑)。

 「選手一人一人、来年がかかってるんやで。この結果いかんで契約が終わってしまう、ということだってあり得る。そう思って必死にやらんとアカンわな。球場を満杯にしてくれる多くのファンのためにもその姿勢を見せるべきやろう」

 10日のヤクルト戦21戦(甲子園)から始まる7連戦。実質これが矢野阪神にとってのラストチャンス。もし自力CS進出の道すら断たれたとしても、2020年につながる目に見える『成果』は求められる。虎に、消化試合など一つもない。(デイリースポーツ・中村正直=1997~99年阪神担当キャップ、前編集長、現販売局長)

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