糸原ド執念 六回1死満塁で代打K…八回リベンジ同点打「悔しさぶつけた」
「阪神6-5広島」(11日、京セラドーム大阪)
プロ野球選手としての本能と、チームのキャプテンとしての意地が阪神・糸原の心を支配していた。「最近悔しい思いをしているので、その悔しさをぶつけようと思って打ちました」。球場全体を熱気の渦へと変えた背番号33の一振りが、試合を振り出しに戻した。
3点ビハインドの八回だった。3連打で2点を返し、なおも1死三塁の好機。ベンチとスタンドの期待を背中に感じながら、カウント2-1からフランスアのスライダーを捉えた。思いを乗せた打球は中前に落ち、相手の守備が乱れる間に一気に三塁を陥れた。隙を見逃さない姿勢が接戦でモノを言う。値千金の同点適時二塁打が、逆転勝利をグッと引き寄せた。
打たなければならない理由があった。この日はベンチスタートだったが、3点を追う六回1死満塁の絶好機に代打として登場。試合の流れを引き寄せる場面だったが、結果は空振り三振。チームに貢献できていなかった思い。「グラウンドでしか(悔しさは)ぶつけられないので、ぶつけました」と振り返った。
矢野監督も「ああいう働きをしてくれるとチーム全体としてプラスになるし、健斗(糸原)自身にもプラスになる」と賛辞。虎のキャプテンの存在感が、カード勝ち越しを決めた夜に輝いた。