大山 意地のV撃 今季初4番にバントサイン「悔しい気持ちあった」

 7回、先制の適時二塁打を放つ大山
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 「阪神1-0広島」(7日、甲子園球場)

 予想だにしなかった光景に、4万4870人が詰め掛けた甲子園がドッと沸いた。0-0で迎えた七回、無死一塁。打席の阪神・大山がバントの構えに入る。4番打者が今季初めて見せる光景。この一戦に懸けるチーム、矢野監督の思いは感じていた。だからこそ、率直な思いを言葉にした。

 「サインが出た瞬間は悔しいというか、そういう気持ちもあった」。ここまで81試合、357打席全てで4番を張る。当然の感情を抱きながら、それでも「個人競技じゃない。チームとして点を取らないと勝てない」と打席に立った。だが、初球、2球目と結果的にファウルになった。

 悔しさ、情けなさ…。胸を占めるのは負の感情。それでも4番は大山だ。浜中打撃コーチが述懐する。「バントをさせられる、バントを失敗する悔しさはあったでしょう。4番の意地ですよね」。3球、際どいコースを見送った後、フルカウントから6球目。内寄りのシュートを狙った。

 決して甘い球ではなかった。だが、思いを込めて打ち返した白球は、深々と左中間を破った。スタートを切っていた一走・糸井が先制ホームに生還。今季7本目の決勝打は、糸井と並んでチームトップだ。今年初めてだったのは、バントのサインだけじゃない。普段なら、ベンチに向けるガッツポーズ。この日、塁上の大山は白い歯すら見せなかった。

 「次の1点をどう取るか、考えていた。走塁ミスが多いのも感じている。次のプレーに集中していました」

 反省の言葉に意地と誇りを込めた。バント失敗後の決勝打。即挽回の一振りに成長が見える。「取り返せたのはプラスになる。結果オーライにしてはいけない。けど、ミスを取り返すのは大事なこと」。さらなる飛躍の分岐点にしたい。感嘆の声を、歓声に変えたフルスイング。証明した。阪神の4番は大山だ-と。

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