中谷 救世主弾 連敗脱出!打てば昨季から6戦6勝!虎蘇生逆転V2ラン

 7回、左越えへ逆転2ランを放つ中谷
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 「広島2-3阪神」(5日、マツダスタジアム)

 一振りで苦境を切り開いた。阪神・中谷将大外野手(26)が1点ビハインドの七回2死一塁から代打で登場。6連敗中だった広島・大瀬良から、左翼ポールを直撃する1号逆転2ランを放った。リーグ3連覇中の王者相手に連敗を4で止め、メッセンジャーに日米通算100勝をプレゼントした。

 逆転のホームインは歓喜とともに。中谷が何度もほえる。控えめにした小さなガッツポーズとは対照的に、大仕事をやってのけた。今季1号となった逆転2ラン。「これからも勝ち続けたい」。そんなヒーローの声は、大歓声にかき消された。

 覚悟は決まっていた。ゆっくりと打席へ入った。「このチャンスをつかむんだ、結果を残すんだ」。1点を追う七回2死一塁で出番は回ってきた。アピールチャンス。与えられる打席は1打席。「代打・中谷将大」がコールされた。

 劇弾が待っていた。勝負を決めたのは、追い込まれてからの7球目。狙い澄ましたかのようにフルスイングで、143キロの直球をはじき返すと、祈りながら走り始めた。「切れないでくれ」-。打球は左翼ポールを直撃し、今季1号の“鐘”を鳴らした。逆転の2ラン。必死に食らいついた結果が、最高の一打につながった。

 期待を裏切った昨季。苦しむ中谷のそばには、当時2軍監督だった矢野監督がいた。2軍降格後の昨年8月28日。打撃練習中に声をかけられた。「めいっても一緒。1軍と2軍。場所が変わっても、頑張れば、今後の野球人生につながっていくぞ」。肩をポンポンとたたかれた。

 指揮官の思いは、しっかりと中谷の心に届いていた。開幕して7戦目。先発出場はいまだなし。打席も3打席しか立てていなかった。それでもベンチには声を出し続ける中谷の姿があった。「悔しい気持ちもあった。いつか自分も結果を出すぞって」。心は折れない。前を向き続けた。

 結果につながった今季4打席目。誰よりも喜んでいたのは矢野監督だった。「采配?すごいのは俺じゃない。あんな場面で打てる将大がすごい!!」。ベンチの前で1回、2回、3回…。どんどん大きくなるガッツポーズ。「一緒に喜んでもらえましたね」。指揮官が拳を突き上げると、中谷は笑った。

 6戦6勝。昨年から中谷がアーチをかければチームは勝つ。神話継続だ。「ここからがスタート。どんどん与えられた場所で結果を残していきたい」。その一打でまた歓喜の勝利を呼び込む。

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