岩貞1安打0封 昨季の天敵ツバメ封じで1勝

 「阪神1-0ヤクルト」(30日、京セラドーム大阪)

 開幕2戦目の重圧をはねのけた左腕の背中がまぶしく映った。抜群のキレと球威を携えた直球を主体に、虎の子の1点を守り抜いた。今季初登板で初勝利をつかんだ阪神・岩貞が笑顔で快投を振り返った。

 「初登板で緊張したけど、その緊張を楽しむことができた」

 昨季1勝3敗、防御率5・57とリーグ別対戦相手で最も分が悪かった相手に見せた“ツバメ斬り”。「緊張」という名の魔物と戦う初登板でも「気持ちよく投げられました」と雰囲気を楽しむようにアウトを積み重ねた。

 初回2死から3番・山田哲に浴びた二塁打が唯一の被安打。後続を寸断し、リズムに乗ったかに見えたが、この試合最初で最後のピンチが三回に訪れた。

 1死から3連続四球で満塁。ストライクが入らず、二回までとは完全に別人だった。だが「(四球を)3つ出して、これ以上(与えることは)ないな」と開き直り、4番・バレンティンを一飛。塩見はカウント2-2から144キロ外寄り直球で空振り三振。修羅場を乗り越え、勢いよくマウンドを駆け降りた。

 昨年の春季キャンプは終盤に息切れし、開幕ローテを逃した。同じ轍(てつ)は踏まない。「勝てる投手」を求め、尊敬する先輩・能見のような投球術習得へ「投球の幅を広げる方が大事」と、球速アップより今持っている球種の精度アップに取り組んだ。活路を見いだしたのが10勝した16年に使っていたカットボール。元々の持ち球に磨きをかけ復活への手応えをつかんだ。

 矢野監督は三回の投球を絶賛。「バレンティンと塩見を打ち取るところまで持っていくのは、簡単なことじゃない。いい意味での開き直りは、バッテリーの中で持てたと思う」と目尻を下げた。

 チームの開幕2連勝に貢献し、最高の流れで31日の第3戦で移籍後初先発となる西にバトンをつないだ岩貞。左のエースへと続く階段を、左腕は駆け抜けていく。

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