大山、鯉粉砕弾 広島戦4年連続負け越し危機に151日ぶりの一発
「広島3-11阪神」(5日、マツダスタジアム)
若虎が速攻の強烈パンチを浴びせた。阪神・大山悠輔内野手(23)が初回に左翼へ3号3ラン。4月7日・中日戦以来、約5カ月ぶりの一発で勝負の流れを一気に引き寄せた。これで大山が一発を放った試合は通算9勝1敗で、昨季から5連勝。負けていれば4年連続の広島戦負け越しが決まるという一戦で、価値ある一発だ。
広島の空へかけた勝利への虹。悩んで、苦しんで、つまずいてきた男のバットが生んだ先制パンチに虎党も酔いしれる。静かに燃やし続けてきた闘志。219打席ぶりに飛び出した待望の一発に、ようやく笑顔が光った。
「追加点が大事だと思ったのでよかった」
不安定な相手の立ち上がりを見逃すわけがなかった。4日の同戦では4時間23分の死闘の末サヨナラ負け…。悔しさは消せない。初回、1点を先制し、なおも2死二、三塁。この勢いをつなぐ。4試合連続で先発出場した大山が、ここから最高の形で試合を動かしていった。
2球ファウルで粘り、フルカウントで迎えた7球目。132キロのフォークを捉えた。力強く伸びていった白球は左翼席中段にズドン。「ファウルで粘りながら、いいポイントで打つことができました。初回に得点を挙げることができて良かったです」。今季自身1試合最多の3打点を挙げる3ランで、流れを引き寄せた。
今季3号。4月7日の中日戦(京セラ)以来となる151日ぶりの一撃となった。広島戦、そして敵地・マツダスタジアムではプロ2年目で初アーチだ。これで通算10本塁打。大山が一発を放った試合は9勝1敗となり、昨季から5連勝だ。
時にはうつむく日もあった。練習後、打撃コーチに「今日は全然ダメだったと思います」ともらしたこともある。状態が上向くためのきっかけを探し続けてきた。
試合前の早出練習に加え、試合後に残って打ち込みをすることもしばしば。「打ててなかったし、ただチームの勝利に貢献したいから」。胸に秘めるのは勝利への執念。そして突き動かすのは猛虎の一員としての覚悟だった。
八回には三塁線への打球をダイビングキャッチで好捕。振り向きざまに一塁へ矢のような送球で打者走者を刺した。マウンド上から能見がグラブで合図を送ると、うれしそうにはにかんだ。
「全部頑張ります」。打撃に、守備に、走塁…。貢献できれば何でもいい。この日描いたのは勝利への懸け橋。残った手応えに、表情もほころんだ。
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