新Gキラーの予感…青柳、制球難も武器

 阪神球団史上6人目の巨人戦初登板初勝利を飾ったドラフト5位・青柳晃洋投手(22)=帝京大=にスポットを当てる。宿敵に初めて挑んだ7月7日(東京ドーム)は7回1安打無失点。2度目の対戦となった同20日(甲子園)も黒星こそ喫したが、六回途中まで力投した。巨人打線を苦しめたクオータースロールーキーの秘密に迫る。

 新しいGキラー誕生の予感だ。ルーキー青柳が下手投げと横手投げの中間から繰り出す「クオータースロー」を駆使し、巨人打線を苦しめている。2度の対決とはいえ、球界でも珍しい変速右腕のインパクトは強烈だ。

 巨人・長野「あのスライダーは手元でかなり曲がるんですよ。直球も力がある。ただ、浮いてくるのとは違う。回転が汚いから、逆に沈むんです。振ってみるとボールになっている。いい投手です」

 巨人・坂本「ツーシームがよく動いている印象です」

 巨人・村田「腕の振りがいい。(初対戦では)真っすぐとツーシームにうまく対応できなかった。変化球が両サイドにくるし、直球もばらけてくるので(2度目の対戦では)真ん中に来る球だけ狙った」

 巨人・阿部「コントロールがあまり良くない分、(ストライクゾーンにきた球は)ビシッとくるイメージ」

 右打者にとって外角低めに沈むスライダーは、かなりやっかいな軌道のようだ。ストライクゾーンを突く140キロ超の直球とツーシームも独特。開幕2軍ながら、6月にデビューしたばかりの新星について香田投手コーチはこう評価する。

 「ストライクが入れば何とかなるという自信がついたんじゃないかな。ボールは強い。スピード以上に速く感じるんじゃないかな。下から投げて140キロを超える投手はなかなかいない。下から来るボールはバッターも見慣れていないと思う」

 村田、阿部が声をそろえるように、適度な荒れ球が右腕の武器。現段階では本人も、抜け球も持ち味と捉えている。

 「コントロールが悪いのも武器だと思う。(抜け球を)減らせればいいけど、それがあるから生きるボールもあると思う。全部配球通りに投げれば、抑えられるというわけではない。短所を生かせればいいと思います」

 デビュー直後のルーキーには2つの課題があったが、登板を重ねるごとに克服しつつある。6月1日・楽天戦はセットポジションの癖を見抜かれ4盗塁を許した。そこで投球間隔に工夫を凝らした。

 「けん制を投げて、1球1球の投球間隔を変えるように意識している。一定にならないように。(20日・巨人戦で一塁走者の)坂本さんが出て戻ったりもあった。秒数で(スタートを)切っているのは分かっている」

 もう1つの弱点である左打者対策も進めている。先発3戦目の6月15日・オリックス戦は5回無失点に抑えながら、安打すべてを左打者に許した。見直したのは配球だ。20日・巨人戦でバッテリーを組んだ梅野は「内角に真っすぐとスライダーを投げられるようになったことが大きい。外角のツーシームも生きる」と証言。青柳も「インコースもそうですし、チェンジアップだったりすべての球種を使うようにしてからある程度抑えられるようになった。120キロぐらいのチェンジアップでタイミングを外すことができれば、内野ゴロに打ち取れる」と手応えを口にする。

 ここまで6試合(うち先発5)に登板し、2勝2敗、防御率3・81。ドラフト5位ルーキーとしては、堂々たる成績だろう。バント処理など投球以外で課題はあるものの一歩ずつ前進。かつてのGキラー・小林繁氏をほうふつとさせる、クオータースロー右腕が、後半戦もローテの一角をがっちりと担う。

2023-11-05
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