大和、千金V弾 ちびっ虎へ勇気与えた

 「中日0-1阪神」(5日、ナゴヤドーム)

 全国の子どもたちに勇気を与える一振りだ。息を飲む投手戦に終止符を打ったのは伏兵の阪神・大和外野手(28)。0-0で迎えた七回2死、小さな体から放たれた打球は左翼席へ。2014年5月14日・広島戦(米子)以来、651打席ぶりの通算2号。昨年誕生した長男に贈る一発で、チームは2カード連続のカード勝ち越しを決め、3位に浮上した。

 白球が吸い込まれた左翼席の虎党は絶叫した。軽快な足取りでダイヤモンドを回った大和は、満面の笑みで仲間とハイタッチ。3位浮上へ導く値千金弾に「ランディが頑張って投げてくれている中でしたし、いい1本が打ててよかったです」と声を弾ませた。

 七回2死。山井の初球、内寄りに入った123キロスライダーをフルスイングした。左翼方向へ上がった打球は失速せず、4・8メートルのフェンスを越えた。

 「甘い球が来たら積極的に早いカウントから打ちにいこうと思っていました。ホームランはまぐれです。でも、ナゴヤドームは広い球場ですけれども打った瞬間にホームランだと分かるくらい、いい感触で捉えられました」

 本塁打は14年5月14日・広島戦(米子)以来、通算2本目。1日のDeNA戦(甲子園)での決勝打は右に流したが、この日は引っ張った。「強く打つことを考えています。いい感じで打てています。右にも強く打てていますし」と調子はいい。

 金本監督も賛辞を惜しまない。「バットの出し方とか、ヘッドの効きがよくなっている」。さらに「インサイドのシュートとか速いボールを打てるようになったら、本当に二皮くらいむけたことになるんじゃないの」と期待を寄せた。

 昨年8月に第1子の長男が誕生した。オフはお風呂に入れたり、おむつの交換をしたりと“イクメン”ぶりを発揮していたが、シーズン中は遠征で会えない日が続く。5月5日は「こどもの日」。試合前は「(長男に何をするかは)まだ分からないよ」と話していたパパだったが、最高のプレゼントを贈ることができた。

 鹿児島の実家では、こいのぼりを飾っているという。昨年10月、その故郷から両親がみやざき・フェニックスリーグの観戦に訪れた。父・利和さんは180センチを超える江越や中谷を見ながら「大和もあれぐらい大きかったら、たくさんホームランを打てるのに…」と漏らした。

 177センチ、68キロとプロ野球選手の中では小柄な体。だが、そんなことは関係ない。「僕のような小さな選手でもホームランを打てたんで、大きい夢を持って頑張ってほしい」。我が子、そして野球少年のために-。全力プレーを見せた背番号0が歓喜の中心に立った。

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