大和波動砲1号!プロ9年目ついに発射

 「広島3-4阪神」(14日、米子)

 プロ9年目、阪神・大和外野手(26)の“波動砲”がついにさく裂した。1点を追う三回に左翼スタンドへ運ぶプロ初アーチ。通算1172打席目での歓喜弾が貧打に苦しむチームに勇気を与えた。マートン、ゴメスの両助っ人にも当たりが戻り逆転。首位・広島とのゲーム差を3とした。

 驚弾だった。夕暮れの米子の空に描いた緩やかな放物線。まるで長距離打者のような弾道だった。大和がプロ初本塁打。「あんなにゆっくり走るのは初めてだったので不思議な感じだった」。クールな男が目尻を下げた。

 1点を追う三回2死。小野に2球で追い込まれた後、5球もファウルで粘った。フルカウントまで持ち込んだ11球目。真ん中高めのスライダーを鋭い体の回転でバットに乗せた。打球は92メートルの左翼フェンスを越え、黄色い波に吸い込まれる同点の1号ソロとなった。

 「粘って、粘って、打てたので自分の中では価値があると思う。出ると思っていなかったのでよかった」。プロ9年目、通算1172打席目での一発。手に残った感触を楽しむようにゆっくりとベースを一周した。

 三塁ベンチ前では目を丸くした仲間から手荒い祝福を受けた。和田監督は「びっくり箱の前に超が付くね。この球場ぐらいやろ。打てるのは」と冗談を交えて節目の一打を称賛。記念のボールは手元に戻りしだい妻・麻理子さんに渡す予定だ。

 今季は好スタートを切り、4月下旬まで打率3割前後をキープ。だが、突如不調に陥って5月8日には打率・244まで落ちた。

 その間、ノックバットでのティー打撃などでフォームを修正。10日には和田監督からスイングの軌道など直接指導を受けた。また、時間があれば一人で打撃の映像を見つめ、自力でも不振を脱出しようとしてきた。この日の一発で5試合連続安打。一時の低迷は脱したようだ。

 今は守備での負担も多い。西岡、上本の負傷離脱で二塁を任されている。もともとは内野手とはいえ、多様な動きが必要な守備位置だけに、打撃だけに集中するわけにもいかない。

 それでも多くの名選手を育てた高代内野守備走塁コーチが「内野手として教えることがない。必要な要素を全て持っている」と絶賛するセンスの持ち主。攻守で絶対に欠かせない。細身でもチームを支える大黒柱だ。

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