【なでしこ連載・下】露呈した準備不足

 「落日のなでしこ…女王衰退の真相(下)」

 想定外の敗退の裏には、スカウティングの失敗など数々の準備不足があった。大会前日、佐々木監督は「いい準備ができた」と手応えを口にしていた。1月から計3度の合宿を実施。対戦相手の映像は早い段階から入手し、W杯カナダ大会決勝の敗戦を教訓にサイド攻撃を磨き、相手のクロス対策に重点を置いた。

 しかし、オーストラリア戦は対策を練ったはずのクロスから2失点。さらに主将の宮間が「見てきた試合と違う戦術をとってきた」と振り返ったように、戦前のスカウティングもはまらなかった。高さ対策で187センチのGK山根を起用したが、相手のハイボールは少なく、パスサッカーにも戸惑った。引いて守られ、日本がボールを保持できるとの見立ても外れた。練習してこなかったロングボール攻撃を指示するなど、指揮官の戦術も次第にブレ始めた。

 敗退決定後に指揮官は「準備の段階でもっと実戦が必要だった」と、強化試合を組まなかったことへの反省を口にした。

 日本サッカー協会の野田女子委員長は「戦術の浸透や意思統一を図ることを優先した」と説明したが、DF鮫島は「紅白戦でいろんな局面の話し合いはしたが、対策の範囲が少なすぎた」と指摘。スピードがあり、体格のいい男子高校生や大学生相手に練習を積んできたが、実戦とは別物だった。

 中国戦で失点したミドルシュート対策なども不十分で、MF宮間は「相手に対応する力が足りなかった」とうなだれた。

 東京五輪まであと4年。なでしこ再生へ残された時間は多くはない。22歳FW横山の活躍は光明だった。14年U-17W杯で世界一になるなど、若い芽は育っている。東京五輪は予選免除となり、今回のような真剣勝負を経験する舞台を踏めず、より周到な準備が必要となる。19年フランスW杯、そして20年を見据えたなでしこの新時代を、いち早く築かなければならない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

なでしこJAPAN最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    スコア速報

    ランキング(サッカー)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス