好川“婦唱夫随”で初戴冠

 「ボクシング・WBO女子世界フライ級王座決定戦」(9日、堺市産業振興センター)

 元東洋太平洋女子ライトフライ級王者の好川菜々(38)=堺東ミツキ=が前WBO世界女子フライ級王者、李恩恵(33)=韓国=に2-0判定勝ち。激しい打ち合いを最大2ポイントの僅差で制した。昨年4月にWBA女子世界ミニマム級王者、アナベル・オルティス(メキシコ)に挑戦し、0-3判定で敗れた好川は2度目の世界挑戦だった。

 李恩恵は8戦全勝(3KO)の強豪。夫の野上真司トレーナー(41)と二人三脚で世界再挑戦まで歩んできた好川は「百パーセント勝つ気持ちしかなかった。その準備は十分できていた」と胸を張った。

 最終回まで両者一歩も引かない消耗戦で、最後は気持ちの勝負となった。野上トレーナーは「正直、5回までで負けていると思ったが、試合前にポジティブな指示がほしいと言われていた。5回以降は『勝つんやろ?』と気持ちのことしか言わなかった」と振り返った。妻は指示どおりの猛攻で最終10回のポイントを取り、勝利に持ち込んだ。

 2人は昨年7月に結婚。新婚生活はそのまま世界再挑戦への道のりだった。「きつかった。自分の価値が野上の指導力の価値を上げるし、負ければトレーナーとしての名前も自分の名前も下がる。何でもいいから勝ちたかった」と好川は本音を明かした。

 野上トレーナーは「リングに上がれば自分の奥さんとは思っていない。どつかれても、顔を腫らしていてもボクサーだから」と言う。一方で「アマ時代からこの子はチャンピオンになる子だと思っていた。スター性もあった。それだけに、チャンピオンになれなかったら自分の責任だと思った」と妻に負けない重圧もあった。

 試合後は、支えてくれた夫に「今までごめんなさい」と殊勝な表情を見せた好川だが「これ(ベルト)を獲ったらちょっとだけ私が強くなる」と“婦唱夫随”は継続。端正な顔を腫らして笑顔を咲かせる妻に、夫は「よく頑張った」と目を細めていた。

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