一翔が初防衛 4団体制覇へ確かな一歩

 「ボクシング・WBA世界フライ級タイトルマッチ」(27日、エディオンアリーナ大阪)

 史上最速の世界3階級制覇王者、井岡一翔(26)=井岡=が、大差の判定3‐0でロベルト・ドミンゴ・ソーサ(アルゼンチン)を下し、初防衛を果たした。ガードを固める相手にKOこそ逃したが、左ボディーから顔面への鮮やかな連続攻撃で圧倒した。試合を見守り、この日が71歳の誕生日だった祖母・ミツ子さんに白星をプレゼントするとともに、フライ級4団体制覇の野望へ確かな一歩を踏み出した。

 「倒す」スタイルへの変ぼうは十分に感じさせた。一翔は序盤から左ボディーの連打。顔面への突き上げ、さらに右をぶち込んだ。

 前傾姿勢で何度も空振りをさせる攻防一体の技術は「打たせずに打つ」の理想に近づいた形。最終回、大コールの中、ギア全開の強打。狙っていたKOこそ逃したが、大差判定で初防衛した。

 リングで、71歳の誕生日を迎えた祖母・ミツ子さんと抱き合い約束のキス。「おめでとう。勝利をプレゼントします」と最高の孝行をした。

 叔父・弘樹氏のころからボクシングに精通し、何より声がよく通る。ゴングが鳴った瞬間、「行かんか一翔!!」‐。応援にはいつも「早過ぎるやろ、おばあちゃん」と、胸中で突っ込みを入れている。

 盆には祖母も一緒に家族で村上水軍の末えい・井岡一族生誕の地、山口・周防大島に墓参り。中学時代に亡くなった祖父・昭廣さんの墓に3階級制覇のベルトを巻いた。「夢やった」と、感無量に手を合わせた。

 井岡家の嫡男(ちゃくなん)として、幼少より縛られてきた使命からは解放された。「後はもう行くところまで行ったろか!!」。ここからは一翔自身の第2章だ。

 野望は「フライ級4団体制覇」。「ローマン・ゴンサレス(WBC王者)に勝ちたい。僕の上には王者もいる。エストラーダ(WBAスーパー王者&WBO王者)とレギュラー王者で統一戦、WBOをかけてもおもしろい」。過去の“因縁”からタブー視されてきた“ロマゴン”も、今は堂々と標的として口にする。

 大みそかに、想定されるレベコとの再戦は通過点に過ぎない。陣営は来春にも、統一戦のビッグマッチをにらむ。「上下の打ち分けでしっかりダメージは与えたけど、もう少しKOチャンスをつくらないと。世界は甘くない」。いざ“天下統一”進撃へ、勝ってかぶとの緒を締めた。

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