「ボクシング・ＷＢＣ世界バンタム級タイトルマッチ」（２２日、大田区総合体育館）

　王者の山中慎介（３２）＝帝拳＝が、最強挑戦者のアンセルモ・モレノ（３０）＝パナマ＝を２‐１の判定で下し、日本歴代４位に並ぶ９度目の防衛に成功した。終盤までポイントをリードされる苦しい展開で“神の左”も不発だったが、執念で逆転勝利。今後はさらなる強豪、そして団体統一戦を目指し、新たなステージに向かう。

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　【畑山隆則の目】山中選手は今までの防衛戦で、一番苦労した試合になったね。とにかくパンチを当てさせてもらえない。いつもの踏み込みもなく、最後は疲れて接近戦で自分からクリンチしていた。

　印象に残ったのは９回に右フックを浴びてグラついた直後の１０回、左ストレートと右フックで流れを引き寄せた。あそこがターニングポイントだった。

　８回終了後の公開採点でリードされて、あのままズルズルといっていたら完全にモレノのペースになっていた。ただ、これだけ防衛に成功しているだけあって、さすがに勝負どころを分かっている。主導権を奪い返した攻撃は見事だった。

　それにしてもモレノのスタイルは、９０年代の米国の名王者、パーネル・ウィテカーを思い出させたね。山中選手は空気と戦っているような感覚だったんじゃないかな。

　今回は指名試合でもないのに、危険な相手を選択した陣営の英断は素晴らしかった。具志堅さんのＶ１３に近づいたし、内山高志選手（ワタナベ）と２人で長期政権を築いていってほしいね。（元ＷＢＡ世界スーパーフェザー＆ライト級王者）