【芸能】恋愛映画の潮流は「壁ドン」から「新・時かけ」?…「ぼく明日」三木監督に聞く
近年の恋愛映画と言えば「壁ドン」に代表される胸キュンものが大流行。主に少女漫画を原作とした王子様系のツンデレ男子とヒロインのめくるめく恋模様が支持を集めてきたが、潮流は変わりつつある。17日公開の「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」や来年に待機する「君と100回目の恋」などタイムトラベルものが増えている印象。昔から存在するジャンルとはいえ、一回りしての盛り上がりは、なぜだろう。“新・時かけブーム”を「ぼく明日」の三木孝浩監督(42)にひもといてもらった。
タイトルからも分かるように「ぼく明日」では、時空を超えた男女の切ない恋愛が描かれる。福士蒼汰と小松菜奈が紡ぐ物語はファンタジーだが、相手のことを思って揺れる心情はリアル。時代に求められた作品であることは、原作が累計150万部超えのベストセラーであることからも分かる。
歴史的ヒットを続ける「君の名は。」でもボーイミーツガールに時間的トリックやSF要素が関わっており、抵抗感なく受け入れられている。映画「僕等がいた」「アオハライド」などを手がけた恋愛ものの名手、三木監督は「赤い糸で結ばれた相手とのクラシカルな恋愛像、定められた運命の人との出会いを潜在的に求める部分は時代を問わずにある。ただ、今は運命的な出会いが日常の中では起こりづらく、連絡のとれない時間に相手のことを思う、すれ違いすら難しい。それこそ心が入れ替わるとかタイムパラドクスまで出会いの『かせ』をほしがっているんじゃないか」と分析する。
通信インフラの発展により恋を燃え上がらせる障害が現実の恋愛で登場し難くなり、ファンタジーやSFの領域まで物語を膨らませることでようやく“すれ違い”にリアリティーが生まれる時代。「ティーンの恋愛事情の中に『かせ』が少なすぎて、LINEが既読になる、ならないだけでも相手の気分、感情がすぐに手に入ってしまう」からこそ、障害としてのタイムパラドクスに胸が躍る。
「壁ドンに象徴される今を切り取った、消費して楽しむ恋愛像」(三木監督)は、非日常的な言動が心をときめかせるスパイスだった。だが、大量生産され、食傷気味になると現れたのが“新・時かけ”。
「僕らは青春時代に『時をかける少女』とか『恋はデ・ジャブ』とか、タイムパラドクスものの名作ラブストーリーが多くて、慣れ親しんできたんです。いつか、そういった作品を作りたいと思っていた作り手側のタイミングが重なって、それが10代20代の気分とマッチしたんじゃないでしょうか」
恋愛映画は社会の鏡、とも言えそうだ。
(デイリースポーツ 古宮正崇)



