【ライフ】愛される神戸のスヌーピー像

 昨年、生誕65周年を迎え、今なお世界中で愛されるキャラクター・スヌーピー。日本での人気ももちろん高く、東京では、昨年10月、中目黒に「ピーナッツカフェ」が営業開始、今年4月には六本木にスヌーピーミュージアムが期間限定オープンしている。続々と新たな“聖地”が誕生しているが、関西にも隠れたスヌーピー・スポットがあるのをご存じだろうか。神戸の西元町にあるレトロモダンな建物の片隅に、ぽつんと存在するスヌーピーの石像だ。しかし、このほど突然撤去されたと話題になっている。神戸の街をめぐるバス「シティー・ループ」の車内ガイドでもたびたび紹介されていた観光スポットの“行方”を調査した。

 スヌーピー像の“すみか”だったのは、旧三菱銀行神戸支店の「ファミリアホール」だ。明治時代に建てられた近代洋風建築物で、子供服メーカー・ファミリアが所有。早速、ファミリアに確認すると、1日に本社を移転。それに伴い、スヌーピー像も新本社(神戸市中央区磯上通)に連れてきたそうだ。安否確認が取れ、スヌーピーファンのホッとした表情が目に浮かぶ。しかも実は、今回が3度目のお引っ越しなのだ。スヌーピー像は、同社が神戸大丸近くに本社があった1980年代に施工された。1994年の本社移転後もそのまま置かれ、震災を経験。旧本社は被害を受けたが、奇跡的に無事で、その後は、しばらく大阪・鶴見区の鶴見はなぽ~とブロッサム(現三井アウトレットパーク大阪鶴見)内にあったスヌーピータウンに避難し、ファミリアホールへと移された。意外にも激動の“犬生”を歩んでいたのだ。

 スヌーピー像が造られたきっかけには、神戸の街を愛する気持ちが詰まっている。80年代、メリケン波止場と中突堤間の海面を埋め立ててメリケンパークの造成が進んでいた。当時のファミリア社長の坂野通夫氏が、神戸市の関係者と「何か盛り上げることはできないか」と非公式な場で話し合い、メリケンから連想される“輸入”というイメージにマッチしたスヌーピーに白羽の矢を立てたという。

 70年にファミリアが日本で初めてスヌーピーを紹介した縁もあり、坂野氏は「ピーナッツ」原作者であるチャールズ・M・シュルツ氏と交遊が深かった。今でも同社では素敵な逸話が語り継がれている。「正式な書類や資料が残っておらず、口約束で使用許可が出たと伝説になっています」とは、同社MD部キャラクター課の伊丹雅子さん。ちなみに坂野氏は、今秋から放送が開始されるNHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」のヒロインのモデル・坂野惇子さんのご主人である。朝ドラ「あさが来た」でディーン・フジオカが演じ、話題となった実業家・五代友厚のように、坂野氏も今秋以降、もしかしたら旬の人物になるかも!?

 ファミリアにとって、スヌーピー像はシンボル的存在だ。CIオフィス課長の篠原史子さんが「今回、本社移転が決まって、社員からも『あの子はどうなるの?連れて行かないの?』という声が挙がりました」と話すように、スヌーピー愛は強い。もちろん、一般の方々からの人気も相当なものだ。1日、ファミリアが公式フェイスブックページにスヌーピー像の引っ越しについて投稿すると、「いいね」は2500件を早々に突破した。コメント欄には「(本社と)一緒にお引っ越しでよかった」、「今度見に行きます」などという声も。大阪にある某有名テーマパークじゃなくても、関西でスヌーピーに会える!神戸に旅行の際は、ぜひ一度“聖地巡礼”を-。(デイリースポーツ・佐藤敬久)

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