【サッカー】吹田スタジアム長所と課題

 今年からG大阪が本拠地として使用する吹田スタジアムで6月7日、キリン杯3位決定戦と、決勝戦(日本代表-ボスニア・ヘルツェゴビナ)が行われた。スタンドとピッチとの距離の近さが一番の特徴。欧州のビッグクラブが使用するスタジアムを参考に建設された、欧州仕様のスタジアムで初めて行われる日本代表戦に注目が集まっていた。

 結論から述べると、課題こそあれ上々の滑り出しだったのではないかと言える。観戦環境についてはやはり評判がよかったもよう。「臨場感があった」という感想が多く聞かれた。現在Jリーグの多くのクラブは、陸上トラックが併設された競技場で試合を開催することが多い。ピッチと観客席との距離が離れている上、スタンドの傾斜も緩く“サッカー観戦”という点で考えると専用スタジアムには劣ってしまう。

 またG大阪のGK東口が「みんなからいいなぁって言われた」と話したように、選手内の評判もよかったようだ。DF長友は試合後「こういうサッカー専用スタジアムがもっと日本にできてほしい」と話した。

 ただ先に述べたように、課題があったのも事実。一番の課題は、試合前から懸念されていた交通面だ。スタジアムへのアクセスは、「大阪モノレール」がメイン。駅まで徒歩約15分というのもネックだが、帰りは観客が一斉に帰路につくため、駅までの道のりでの混雑が予想された。普段以上に増便し、車両数も増やして対応したが、なかなかスムーズにはいかなかったようだ。

 JR茨木駅へ向かうシャトルバスの乗り場も、周辺の道路環境から新スタジアムの近くには設置ができず、万博記念競技場(旧スタジアム)まで約10分歩かなければならない。

 またタクシーの運転手は翌日、「昨晩は大混乱だった。お客さんの乗り場がきちんと決まっていなくて…。こちらもまだ慣れてないから、言われても分からないんだよ」と困惑気味だった。確かに、これまでG大阪戦の開催はまだ10試合。スタジアム周辺に目印らしい目印もなく、慣れていないのも当然だろう。

 それでもリーグ戦終了後の12月には、各大陸王者が戦うクラブW杯が吹田スタジアムで開催されることが決定した。今回以上に国内外から多くの来場者が予想される。「また来たい」と思ってもらえるスタジアム作りをG大阪側には続けてほしいし、協会側にも今回の収穫と反省をクラブ側とも共有しながら尽力していってもらいたい。また、日本で初めて寄付金で作られたスタジアムを、みんなの手でよりよくしていこうというサポーターの姿勢も大切になると思う。

 今回はまだ「初めてだったから」という“言い訳”があった。しかし待てばいい、歩けばいいでは改善には向かわない。12月までに起きる変化に期待したい。(デイリースポーツ・國島紗希)

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