【ライフ】満足度高い飛騨の下呂温泉

 温泉の泉質は色々あるが、女性に人気のあるのが、とろみたっぷりでヌルヌルのアルカリ性の泉質だ。今回はそのヌルヌルで体がツルツルになる泉質を持ち、混浴露天風呂のある下呂温泉にスポットを当てた。

  ◇  ◇

 江戸時代の儒学者である林羅山が、有馬、草津と並び、日本三名泉に数えたことで知られる岐阜県の下呂温泉を昨夏2度訪れた。最初は8月2~4日に鉄道利用で。下呂駅にほど近い、益田川(飛騨川)右岸に宿を取った。お湯のヌルヌル感は相当なもので、バレーボールの練習中に捻挫して引きずっていた足が、温泉治療のせいか、急に良くなった気がしたもんだ。

 8月3日の夜は前日の2日以上に大規模な花火大会があった。観光協会によると、毎年8月1~3日は町をあげての祭りで、毎日花火が上がる。特に3日は花火ミュージカルと銘打ったビッグイベントで、温泉街の東西を行き来する下呂大橋(通称いでゆ大橋)は車両通行止め。音楽に合わせて夜空を焦がす約1万3000発の花火に酔いしれた。宿泊客だけでなく、見物するたくさんの人で橋が落ちるのではないかと思ったほどだ。

 3週間後には益田川の左岸にある宿に泊まった。アユで名高い益田川が眺められて、その時季はアユ掛けをする釣り師たちが竿を振るっていた。

 下呂温泉は駅から歩いてすぐの場所に位置し、アクセスは最高。

 入社して間もないころ、青春18きっぷを使って益田川の河川敷に湧く、混浴露天風呂の噴泉池に入りに行った。

 20年前は裸浴だったので、昼間入ると、囲いも何もないため、いでゆ大橋を歩く人からは丸見え。「旅の恥はかき捨て」と、湯船の縁でタオルを腰に寝転んで休憩していると、橋を渡る女性の観光客から笑われたものだ。あっ、そうそう!先客に年配のご婦人がいて、途中で胸を覆っていたタオルを取ったので、目のやり場に困ったことも思い出した。

 現在は水着着用となり、秘湯感は少し薄れたが、それでも開放感抜群の湯あみを楽しむことが出来る。泉質はアルカリ性単純温泉で、pHは9を超える。風呂上がりには肌がツルツル、スベスベになって実に気持ちがいい。

 下呂温泉は、ゲロゲロと鳴くカエルをモチーフにCMに利用されたこともある。また、温泉のキャラクターとしてあちこちにカエルの絵が描かれ、お土産のイラストにも使用されてその姿はとても愛らしいものだ。

 下呂駅からはすぐだが、高速道路の一番近いインターからでは約1時間かかる。そういう意味では、苦労してたどり着く秘湯と言えよう。

 宿泊施設は50軒ほどでキャパも大きい。足湯も10カ所あり、散策を兼ねて足湯巡りも可能だ。旅館では益田川で育ったとれたての大きなアユも料理に出てくるので私は夏を選ぶが、冬も川魚や、納豆で育ったヘルシーな「なっとく豚(とん)」、気温差と適度な雨で締まり、糖度の高い「飛騨トマト」などの地産品。私は七味を加えてピリ辛で食べるのが好きな、みそなどに漬け込んだ鶏肉と野菜を甘辛く炒めた「鶏(けい)ちゃん」、が郷土の味として、旅行客を楽しませてくれる。

 下呂駅から徒歩圏内に合掌村や、江戸時代建立の温泉寺、下呂発温泉博物館、さるぼぼ神社などがあり、見どころも多い。

 今年も夏になったら「益田のアユ」を食べに行く予定だ。皆さんもヌルヌルしたお湯で、体がスベスベになる気持ち良い温泉を体験してみては。

(デイリースポーツ・柴田直記)

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