渕正信、還暦後も技・駆け引きは健在!

まだまだ健在。潮崎(左)にドロップキックを見舞う渕=1月31日、後楽園ホール
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 全日本プロレス創設者の故ジャイアント馬場さんの命日にあたる1月31日、後楽園ホールで開催された「十七回忌特別大会」の主役は大ベテランの“生え抜き”渕正信(61)だった。

 馬場全日本を知る秋山準社長&大森隆男とトリオを結成し、潮崎豪&宮原健斗&鈴木鼓太郎という平均年齢31歳の後輩と対戦。情け容赦ないチョップの連発を受け、胸は真っ赤に腫れ上がった。

 3冠ヘビー級王者の潮崎らにブーイングが起こる中、渕はドロップキックで食い下がり、職人技の丸め込みでフォール勝ちへあと一歩まで追い詰めた。肩で息をしながら頑張る姿に対し、通常より年齢層の高かった観客から大声援が送られ、翌週には74年のデビュー以来初めて単独で専門誌の表紙を飾った。

 師匠・馬場さんを思い浮かべながら臨んだ大会だった。秋山社長から「全日本の生き字引」と例えられ、締めのあいさつを託された渕は「馬場さんの追善試合ということで普段の3倍、4倍の力が出ました。どうかこれからも馬場さんのことを忘れないで下さい」と亡き師への思いを口にした。

 98年1月23日・後楽園ホールで行われた馬場さんの還暦特別試合(馬場&三沢光晴&モスマン対川田利明&小橋健太&渕)、98年12月5日・日本武道館での馬場さんの生涯最終試合(馬場&ラッシャー木村&百田光雄対渕&永源遙&菊地毅)ともに対戦しているだけに、ずしりと重い言葉だった。

 実は馬場さんの生涯ラストマッチのことはほとんど記憶にないという。「なぜなら、ラストマッチになると思ってないから。あとからの話だから。もうちょっと覚えておけば良かった」と寂しそうに語った。1月14日に、馬場さんが亡くなった61歳を迎えた。「去年あたりから(同じ年になると)思っていた。ずっと意識はあったよ。馬場さんの還暦では試合をしているしね」と、ゆっくりうなずいた。

 加齢による衰えは否めないものの、まだまだ元気な渕。熟練の技、駆け引きも健在だ。“引退試合”を行わないまま、志半ばでこの世を去った馬場さんの分まで、現役としてもうひと踏ん張りして欲しい。(デイリースポーツ・大島一郎)

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