広島の三塁狙う堂林の不安材料と武器

 広島の堂林翔太内野手にとって、15年シーズンは正念場になる。

 緒方新監督が指揮を執る来季、三塁のポジションは空いている。現状では一塁エルドレッド、二塁菊池が確定的。遊撃を田中、梵、木村らが争う。

 堂林は三塁のポジションを、遊撃の定位置を逃した選手と小窪、鈴木誠らと争うと考えられる。

 ライバルでは鈴木誠が強敵だ。鈴木誠も堂林と同じく今季は右翼でスタメン出場したが、緒方監督は鈴木誠を遊撃か三塁の定位置争いに挑ませる方針を示している。「現時点では堂林より上」と来季の強化指定選手に指名し、大きな期待を寄せている。

 一方の堂林も「三塁のポジションが空いている。そこを絶対に奪うつもりでやっていく」と、熱意を示している。丸と外国人選手がレギュラーに入ることが確実な、外野の残り1枠を争う気持ちは抱いていない。

 ただし、堂林には不安材料がある。

 1つは満足な成績を残せていないことだ。野村前監督に抜てきされた12年は144試合出場で打率・242、14本塁打45打点。13年は故障離脱もあり、105試合出場で打率・217、6本塁打41打点。そして今季は93試合出場で打率・246、8本塁打28打点に終わった。5月に右手薬指を骨折し、約1カ月半離脱した点を差し引いても、物足りない数字であるのは否めない。

 もう1つは指揮官の交代だ。野村前監督は堂林に「背番号7」を継承させるなど、高く期待を寄せていた。堂林が不振に陥ると、熱心に打撃指導を行うこともしばしばあった。今回の監督交代は、堂林にとっては逆風であるのは間違いない。

 それでも、堂林には武器がある。天性とも言えるスター性だ。成績は凡庸でも、勝負どころでの決勝打やサヨナラ本塁打を放つといった勝負強さは特筆ものだ。女性ファンはもちろん、子どもからの人気も高い。

 今季終了後も、そんな堂林の武器を再確認する出来事があった。みやざきフェニックス・リーグの17日・日本ハム戦(天福)だった。視察をかねて、就任後初めてナインに姿を見せた緒方監督の前で、同点ソロと勝ち越し決勝打を放ってみせたのだ。

 ここぞの存在感は他の追随を許さない“鯉のプリンス”。逆風に負けない力は、十分に備わっていると思う。

(デイリースポーツ・山本鋼平)

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