石田匠”一翔離れ”で主役の座到来

 偉大すぎる先輩の背中を追い続けてきた男が満を持し、主役となる時が来た。ボクシングの日本スーパーフライ級1位でWBA世界同級5位の石田匠(22)=井岡。8月11日に敵地、後楽園ホールに乗り込み、日本同級王者・戸部洋平(27)=三迫=を相手に日本タイトルに初挑戦する。

 大阪・秋桜高2年時の国体でバンタム級優勝。09年にプロデビューし16戦16勝(9KO)の輝かしい戦績を誇る。ただ石田を語る際、必ずと言っていいほど『一翔の』スパーリング相手、後輩、前座…などと“枕ことば”が付いてきた。

 小6で井岡ジムの門をたたきボクシングを始めた時から元2階級王者・井岡一翔(25)はあこがれ。中学時代にはスパーリングで肋骨を折られたこともある。「ボクサーとして、人間として1番」と常に目標としてきた。

 一方でそろそろ“一翔離れ”をし、1人立ちをしなければならない時。「もう『一翔くんの何とか』というのが付くのはイヤなんです。王者になって自分がメーンになりたいんです。一翔くんと一緒に世界の舞台に立ちたい」と力を込めた。

 井岡一法会長も世界を取れる大器を認めるからこそじっくり育成した。「スピード、間合い、タイミングが抜群。普通の日本、世界ランカーの中でなら群を抜いている」。

 長年、息子・一翔のスパー相手を務め続けた“ご褒美”もある。「年末に何としても世界戦を組む。一番いいのは(WBA王者)河野」と、8・11にベルト奪取なら年末の世界初挑戦まで確約した。

 本番はまだ1カ月先ながらすでに160ラウンドのスパーリングをこなした。「今までと全然モチベーションが違う」と状態はプロ入り1番だ。8日には一翔の胸を借り3回のスパーリングを行った。ボディー打ちを的確にヒットさせるなどスピード、多彩なパンチで互角に打ち合った。

 「あの左は敵に回したらやっかい。間違いなくベルトを取ると確信している。ボーッとしていたら追い抜かれる焦りがある」と元王者に言わしめた。

 一翔、元WBA世界ミニマム級王者・宮崎亮(25)らの陰に隠れ、無敗ながら全国的には無名。「メッキがはがれるんじゃないか」、「かませばかりとやってる」という声は耳にした。「そうじゃないと、1番、戸部さんに分からせます。ベルトはもらいます」と自信満々に言い切った。

 井岡ジムが満を持し送り出す“秘蔵っ子”で愛称はプリンス。当日はバス4台で大阪から大応援団が駆け付ける。「僕の方がすべてにおいて上。飲み込みますよ。世界タイトルのチャンスをもらいたい」。視界は一翔のいる世界舞台。通過点の8・11で足踏みはできない。

(デイリースポーツ・荒木 司)

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