ボルト100mで史上初の3連覇 3大会連続3冠宣言!「伝説のままで終わる」

 「リオ五輪・陸上男子100m・決勝」(14日、五輪スタジアム)

 男子100メートル決勝は“人類最速の男”ウサイン・ボルト(29)=ジャマイカ=が9秒81(追い風0・2メートル)で制し、同種目史上初の3連覇を達成した。2位はアテネ五輪金メダリストのジャスティン・ガトリン(34)=米国=だった。日本勢で準決勝に進出した山県亮太(24)=セイコーホールディングス=は自己ベストを更新する10秒05の日本人五輪最高記録をマークしたが、準決勝2組5位。ケンブリッジ飛鳥(23)=ドーム=も10秒17の準決勝3組7位で、ともに日本選手84年ぶりの決勝進出はならなかった。

 “稲妻”は三度夢舞台を貫いた。ゴール直前、ボルトは自分がNo.1だと誇示するように右手親指で胸を指し、ゴールを駆け抜けた。「最高の気分だ。完璧な出来と言っていい」。興奮の渦が巻き起こるスタジアムをあおりながら、1周に及ぶウイニングラン。最後はおなじみの弓をひくポーズで、締めくくった。これが最後の五輪。自身のアイデンティティーである“最速”を守り抜き、何度も何度も漆黒の夜空にほえた。

 まるで何かの映画のように観客が思い描く筋書き通りに、スーパーヒーローが勝ちをさらった。選手入場から異様な光景だった。ガトリンの名が呼ばれると、スタジアムは嫌悪感を示すかのようにブーイングが飛んだ。一方、最後にボルトが呼ばれると、割れんばかりの大歓声と、「ボルト」コールが沸き起こった。大会前にロシアのドーピングスキャンダルに揺れた大会。観客は過去にドーピング違反で出場停止の経験があるガトリンにNOを突き付け、クリーンな“英雄”ボルトの勝利を願った。

 先に飛び出したガトリンを中盤からボルトが追い掛ける。大きなストライドでグングン加速すると、粘るガトリンを最後は豪快に突き放した。勝ち方までが計算し尽くされたストーリーのようだった。

 “ボルト伝説”の最終章。今大会で3大会連続3冠を成し遂げることで「不滅になる」と宣言している。まず大会のメインイベントで主役を演じきった千両役者は、不敵に宣言した。「もう分かるだろう。伝説は伝説のままで終わる」-。

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