山部が銅メダル獲得 父との約束支えに…女子78キロ級の連続メダル守った

 「リオ五輪・柔道・女子78キロ超級・3位決定戦」(12日、カリオカアリーナ)

 女子78キロ超級で山部佳苗(25)=ミキハウス=が銅メダルを獲得した。同階級で日本勢は3大会ぶりの制覇を逃したが、00年シドニー五輪から5大会連続の表彰台。今大会の日本柔道女子5個目のメダルとなった。初出場の山部は準決勝で前回覇者のイダリス・オルティス(キューバ)に敗れたものの、3位決定戦でカイラ・サイト(トルコ)を下した。

 五輪の畳では少しの判断ミスが命取りになる。山部は準決勝で、前回女王のオルティス相手に積極的に攻めたが、一瞬組み手が甘くなったところで警戒していた大腰を食らった。「(奥襟ではなく)前襟をしっかり持っていれば防げた」と振り返り、「甘酸っぱい」と唇をかみしめた。

 それでも3位決定戦では落ち着いて指導を3つ奪い、銅メダルを死守。「女子重量級の伝統を途絶えさせないという思いがあった」と、この階級では00年シドニー大会の山下まゆみから続くメダルを守った。13年から指導する薪谷翠コーチは「今までなら1回負けたらもうダメになっていたけど、そこは成長した」と話した。

 ここまでの道のりには、最初の指導者でもある、柔道七段の父との約束があった。11年6月、父・徳一さん(56)が心筋梗塞で倒れ、集中治療室(ICU)に入った。

 心電図の音が鳴る中、「世界大会に応援に行きたかった」と気落ちする父に、「リオに連れて行く」と約束。「ICUでそう言わざるを得なかった」と笑うが、有言実行。五輪代表争いでは2番手だったが、今年の選考会で2連勝し、大逆転で切符を手にした。

 体に負担がかかる中リオ入りし、スタンドで娘の勇姿を目に焼き付けた父に、「ありがとうと伝えたい」と山部。「銅メダルだけどメダルが渡せて良かった」と心からの笑みを浮かべた。

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