虎サヨナラも和田監督に笑みなし
「阪神4‐3日本ハム」(17日、甲子園)
延長十二回、2死走者なし。試合時間が5時間に迫ろうとする中、甲子園の上空から雨も落ちてきた。交流戦初の連勝の期待がしぼむ無念のドローか…。だが、気まぐれな女神は最後の最後で猛虎に微笑んだ。
マウンドには大男・カーター。鳥谷は簡単に追い込まれたが、そこからフルカウントまで粘り、価値ある四球をもぎ取った。和田監督は「2アウトで鳥が出た時点で何か風が吹いてきた感じがした」と振り返ったが、確かにこの四球で流れが変わった。
続く新井良が詰まりながら左翼に落として一、二塁。ここでこの日2安打のマートンに打席が回ってきた。「最後は一番いいバッターに、ドンピシャというかねぇ」。指揮官興奮の一打は、いきなり初球に生まれた。外角にスッと入ってきた139キロのスライダー。勢いよく弾かれた打球は前進守備の中堅・村田の頭上を越え、フェンスを直撃。サヨナラの走者・鳥谷が一気に生還し、ようやく決着がついた。
試合後の勝利監督インタビューを受けた和田監督には劇的勝利に安どの色がうかがえた。それもそのはずだ。八回に代打・坂の犠飛で勝ち越しに成功し、九回は抑えの呉昇桓が簡単に2死を取って勝利目前まで来ていたのだから…。
「逆に九回ツーアウトからやられたんで…同じような展開で取り返したけど…う~ん、勝つには勝ったけど九回で決めたかったですね」
先発・藤浪が自己最多の136球を投げ、毎回の13奪三振の快投を見せた。8回4安打1失点で5勝目は目の前だったが、最後の詰めを誤った。ドローでも相当な深傷を負うところだけに、マートンの一打はまさに起死回生と言っていい。
明日18日は藤浪の好敵手・大谷と対戦する。そして週末は楽天との2連戦。経緯はどうあれ、交流戦初の連勝は勢いがつく。「残り3試合、交流戦の借金も3つあるんで全部勝つぐらいの気持ちで臨みたい」。スタンドのざわめきを遠くに聞きながら、和田監督は3戦全勝を誓った。
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