熊本出身の鹿島・植田が涙 勝利に貢献

自軍ゴール前で湘南・長谷川(左)の前でボールをカットする鹿島・植田=BMWスタジアム平塚
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 「J1、湘南0-3鹿島」(16日、Shonan BMWスタジアム平塚)

 鹿島は、地震被害を受けている熊本県宇土市出身でU-23日本代表のDF植田直通(21)が、昌子ら守備ラインの選手と安定したプレーを見せて湘南を完封した。試合後のインタビューでは郷土への思いから涙する場面も。「何人かでもいいので元気を出してくれる方がいればと。その気持ちだけでやりました」と言葉を絞り出した。

 前半、身長186センチの植田は181センチの湘南FWキリノに空中戦で何度も競り勝ちピンチの芽を摘んだ。ゴール前に攻め込まれた際も、MF長谷川の前で相手のパスをカット。試合の流れをたぐり寄せた。実家が被災するという状況で、90分間集中力を切らさなかった。植田は今季リーグ戦全7試合でフル出場している守備の要。熊本県の名門・大津高出身で、体格を生かしたパワフルな守備や、冷静な判断でリオ五輪でもチームの主軸として期待されている。

 キックオフ前には出場選手、スタッフにより、地震の犠牲者への黙とうが行われた。試合後、中継局によるインタビューに応じた植田は、地震を踏まえたこの試合への思いを聞かれ、涙ぐむシーンもあった。報道陣の取材に、「今日は絶対勝ってやろうと思ったので結果が出て良かったです」と静かに口を開いた。

 前日までに両親の無事は確認していたが、16日未明にも大きな地震があり、今朝あらためて無事を確認した。実家は沿岸部にあるため、津波も警戒し高台へ避難した植田の両親は「車の中で過ごしたと言っていました」という厳しい環境に置かれており、植田自身も気持ちの休まる暇がないというのが実情だ。

 「いつもあいさつに行っていた」という地元の宇土市役所も地震で4階部分がつぶれてしまう大きな被害を受けた。「いろんな思い出がつまっています。信じられない思いでいっぱいですね」。朝からテレビでは21歳の若者にとって目にするには酷な映像が流れ続けた。

 試合前から鹿島サポーターに横断幕や植田コールで励まされ、「サポーターも戦ってくれるのを感じました」と勇気づけられた。「サッカーどころではないと思いますけど、結果だけでも伝わればいいなと思って今日はやっていました。これからも僕にできることが何かあれば何でもやりたい」と郷土への思いをにじませた。

 試合は鹿島が前半20分に、右サイドからのクロスを受けた金崎が冷静に決めて先制。同45分にゴール前の混戦からオウンゴールでリードを広げると、後半20分にも右サイドを抜け出した金崎からの低いクロスをFW土居が押し込んで突き放した。金崎は1ゴール1アシストの活躍だった。

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