防衛の河野「アメリカって公平だな」

 「ボクシング・WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ」(16日、シカゴ)

 王者・河野公平(34)=ワタナベ=が3-0の判定で、元世界3階級王者で同級2位の亀田興毅(28)=K3BOX&FIT=を下し、2度目の防衛に成功した。敗れた興毅は現役引退を表明した。

 最終12ラウンドの終わりを告げるゴングが鳴った瞬間、河野が両こぶしを天に突き上げた。セコンドから手渡された日の丸を誇らしげに観客席に向かって広げて見せた。対角にいる亀田は目の周りを真っ赤に腫らし、力なくコーナーに寄りかかりながら治療を受けている。判定を待つリングには対照的な2人の姿があった。

 1人が8ポイント差をつける完勝防衛。河野はその差を一気に広げた中盤以降の猛ラッシュを「これで死んでもしょうがないと思って人生懸けて行きました。絶対に勝ってやる!そう思って行きました」と振り返った。

 映像を見て研究に研究を重ねたという亀田と実際にグラブを合わせた感想。「1、2ラウンドはパンチあるな、と。左強いな、と」。2回に受けたボディーへの一発を「効いた、やべっ!と思った」と表現した。その直後のパンチで片膝をついたが、レフェリーはローブローと判断し、ダウンにはならず。「そこが分かれ目でした」。逆にゴング直前にカウンターの右ストレートで相手からダウンを奪い、「高橋トレーナーと練習していた。炸裂した。よしっ!と勢いづきました」と会心の笑みを浮かべた。

 想定外だったのは相手のスタイルだ。「足を使って逃げるかな、アウトボクシングしてくると思っていたんですけど、打ち合ってきた。僕をナメてるんだなって」。9回にカウンターで左のショートフックを受けた際にぐらついたが、休むことなく、前へ、前へ。この不屈の闘志には日本人以外の観客も拍手をし、歓声を上げ、口笛を吹いてエキサイト。「本当にそういうのはうれしいですね。9月にロスに合宿に行った時に世界戦を見させてもらったんですけど、いい試合には拍手があったりして『これいいなあ』って」と喜びを口にした。

 3回に亀田がローブローで2ポイント減点。一方の河野も9回にホールディングの反則で減点1。「しょうがない。あれは(亀田を)うっちゃったからですね。でも、アメリカって公平だなって思いました。よかったです、ほんと」と実感を込めて言った。

 亀田の4階級制覇の夢を打ち砕いた戦い。その相手が試合後に引退を表明したことを伝え聞くと、しみじみ言った。

 「彼もすごい崖っぷちだったと思うんですよ。プレッシャーをかけて、かけられて。試合前もすごい盛り上げていた。ここまで言うのか、って。でも、そういうつもりじゃないんだな、いい人なのかなっていう気持ちもあった。いろいろ大変だったと思う、試合したいのにできなかったり、とか。スポーツマンとして正々堂々と戦ってやめるなら『お疲れさま』っていう気持ちですね」。

 判定勝ちが決まった後、拍手をしながら近づいてきた亀田と短く言葉を交わした河野。「死のもの狂いだったんであまり覚えてない。なんか僕が言ったんですけど、忘れちゃいました」。それほどまでに壮絶な戦いだった。

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