バレンティン一問一答「鳥肌が立った」
「ヤクルト9‐0阪神」(15日、神宮)
初回1死二塁で56号2ラン、三回1死で57号ソロを放ち、シーズン本塁打記録を49年ぶりに更新したヤクルトのウラディミール・バレンティン外野手が試合後、お立ち台と共同記者会見で心境を語った。
(スタンドの大歓声を浴びながらお立ち台に上がる)
‐今の気持ちは。
「はじめにヤクルトファン、阪神ファンのみなさんに感謝したい。すべての打席で声援を送ってくれたことに感謝したい。ありがとうという言葉しか見つからない。成し遂げたことに、信じられない気持ちでいっぱい」
‐打った瞬間は。
「自分の理想とする打撃で、しっかり芯で捉えられた。打った瞬間、いったと思った。今までで最高の感触だった」
‐プレッシャーは。
「少しあった。毎打席ヤクルトファンがいつも以上の声援を送ってくれて、何とか応えたいという気持ちで、力が入ってしまった。結果としてヤクルトファンの皆様の前で打つことができて、本当にうれしい」
‐あらためて記録を達成して。
「今でも信じられない。夢の中にいるのではと錯覚するぐらい。実現して神に感謝したい」
‐記録はどこまで。
「この先は自分でもわからない。チームのために、勝利のために打つだけ。数字は神が決める。ベストを尽くすだけ」
‐野球ファンにひと言。
「今までサポートしていただいて、ヤクルトファン皆様には感謝しています。愛しています」
‐日本語でメッセージを。
「アサッテ、ガンバリマス!」
(会見場に移動して共同記者会見。母のアスリットさんと並んで会見に臨む)
‐今の気持ちを。
「正直、今ホッとしています。心からうれしく思いますし、うれしい以外の気持ちが見つからない」
‐神宮で決めた。
「神宮球場はずっと相性がいい。この6連戦に(新記録に)あと3本で臨んだが、3本であれば、神宮球場でさらにモチベーションが上がるし、できると思っていた。これまで節目、節目で打つことができたし、ファンの前で歴史をつくることができて本当にうれしい」
‐王貞治氏の記録を抜いた。
「この瞬間が、訪れることができて本当にうれしい。王さんは本当に尊敬できる、偉大な日本記録を持つホームランバッター。並んで、抜くことできて本当にうれしい」
‐振り返ってどうか。
「ここ何日か、力が自然と入ってしまっていて、ランナーがいてもかえすことができなかった。あの打席は大きいのは狙わず、リラックスしてランナーをかえすことに集中した。結果的にホームランになって良かった」
‐あらためて打った瞬間の心境を。
「打った瞬間、言葉では表現ができない、サーッと鳥肌が立つような、身震いするような感触だった。最高の打席、感触、感覚を覚えることができた」
‐阪神ファンも祝福してくれた。
「本当に特別な、異様な瞬間でした。相手チームのファンがホームランを喜んでくれることはシーズン中にはないこと。劣勢な状況にかかわらず声援を送ってくれて、余計にうれしく思った」
‐母・アスリットさんも喜んでいる。
「皆さんが立ち上がって一緒に声援を送ってくれて、母は小さいので見つけることできなかったが、ベンチに帰ってきて、見つけて、喜んでいる様子を見て、うれしい気持ちになった」
‐きょうは母にどんな言葉をかけられたか。
「『きょうは神のご加護がある。絶対に打てる。きょうがその日よ』と言葉をもらった。きょうは(出身地であるオランダ領アンティル)キュラソー島のフラッグの色をまとった、青色と黄色のコスチュームで声援を送ってくれた」
‐母に送る言葉はあるか。
「日本記録をつくるという特別な瞬間に、母を立ち会わせてくれたことに感謝したい。大好きな母の前で打てて、お互いにいい瞬間を過ごせた」
‐お母さんからひと言。
アスリットさん「私は世界中で一番、幸せな母です。私にこんなに素晴らしい息子を授けくれて、本当に感謝しています」
‐プレッシャーもあったと思うが。
「55本を打った後から毎日のように追い掛けられた。その状況はわかっているし、仕事とわかっていたが…。自分の中では必ず出る、いつかは出るだろうと、いろいろ考え過ぎないようにリラックスして、モチベーションを保つことができた」
‐最終的に何本打ちたい。
「何本という目標は特にない。今まで通り、常にチームのために。野球は9人でやるスポーツ。それを念頭に置いて、1打席、1打席が自分にとって今シーズン最後の打席と思って臨みたい。シーズンが終わって数字が出るもの」
‐3冠王の可能性がある。
「打点に関しては5、6打点差。チャンスを与えられた。こういう環境でプレーできるのはうれしいが、結果を出そうとしたときには必ず力んでしまう。いつも数字が落ちた。なるべく考えないように、今までのような集中力を持って、打席に立つことを心掛けたい」
‐皆さんにメッセージを。
「すべての応援してくれた方々に感謝したい。まずチームメイトのサポートがなければ達成できなかったし、調子が悪いときこそ協力してくれた。監督、コーチ…。素晴らしい球団に感謝している。そして奥村次長。彼が日本で野球する環境をくれた。スワローズファンの皆様も、いいときも悪いときもバックアップしてくれて、感謝しています。1人ではやれなかった。皆さんのサポートがあって、達成できた記録。応援してくれたみなさんに愛を込めて、この時間をシェアしたい」