福井工大福井・北村、親子アーチは夏で

 「選抜高校野球・1回戦、福井工大福井0-4智弁学園」(20日、甲子園球場)

 4番のプライドより意地が上回った。4点を追う八回、先頭で迎えた打席で福井工大福井・北村進太郎内野手(3年)はあえてバントの構えをとった。「最短距離で振ろうと」とバスター気味に打った打球は左前へ。「4タコでは終われない」。自身の甲子園初安打はもぎ取ったが、チームは完封負け。気負いで「4番の仕事がまったくできなかった」と悔いた。

 夢のアーチは描けなかった。父賢吾さん(45)は福井商で1988年春、夏の甲子園に出場した外野手。夏の1回戦・東陵戦では0-2の七回に5番として反撃の口火を切るソロを放ち、チームを逆転勝ちに導いた。

 父の英才教育を受けてきた北村は、昨秋の北信越大会で1本塁打を含む14打数7安打4打点、打率5割と打ちまくった。高校通算33本塁打。「父ができた。自分もやらないと」と甲子園での“親子アーチ”を目指したが、3打席目まですべてで好機をふいにした。

 右翼ラッキーゾーンへと放り込んだ憲吾さんを「アンダースローから引っ張らず逆方向へ。つなぐ意識だった。尊敬します」と言う。初の聖地で知った父の偉大さと自分の未熟さ。「夏に戻ってきてお父さんのためにも打ちたい」。名前の「進」の字は父の願いが込められている。夢をかなえる夏まで、脇目もふらず突き進む。

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