【凱旋門賞】ハープ6着が精いっぱい

 「凱旋門賞・仏G1」(5日、ロンシャン)

 悲願は今年も実らなかった。創設から昨年までの92回の歴史で欧州調教馬しか勝利していなかった世界最高峰の一戦で、史上初めて3頭が出走した日本馬はハープスターの6着が最高。直線で外から懸命に末脚を伸ばしたが、連覇を飾ったトレヴははるか前にいた。ジャスタウェイは8着、ゴールドシップは14着に完敗。残念な結果となったが、大レースの歴史に歓喜の1ページを加えるべく、今後も日本競馬界の挑戦は続いていく。

 またもや悲願は持ち越しとなった。日本の夢を背負ってフランスへと乗り込み、父ディープインパクト(06年、3位入線も禁止薬物検出で失格)が果たせなかった凱旋門賞制覇を期待されたハープスターだが、結果は6着。日本馬として初めての3歳牝馬の挑戦で、54・5キロという軽量は大きな魅力に映ったが、父の無念を晴らすことはできなかった。

 自分の競馬に徹した。道中は最後方のゴールドシップのひとつ前、19番手から追走する日本と同じスタイルを選択。最後の直線に入っても、これまで同様に大外に進路を取った。川田の懸命のムチに応え、グイグイと伸びる姿に、ごぼう抜きを演じた桜花賞の再現なるか、と思わせたのもつかの間。上位陣との差を詰め切れず、失意のゴールに駆け込んだ。

 「これだけ期待してもらって結果を出せずに申し訳ない。馬はよく頑張ってくれた」。懸命に日本のファンにコメントを絞り出した川田。父で佐賀競馬の孝好調教師が海外競馬に夢をはせ、何度も見ていた凱旋門賞のVTRを、川田もハープの祖母の父トニービンが勝った(1988年)ころから、食い入るように凝視していた。

 小学校の作文では「凱旋門賞とキングジョージを勝ちたい」と書き記した。いつか欧州のビッグレースを。自ら父・孝好師をフランスへと招き、最高の親孝行は果たしたが、壮大な夢までは実現に至らなかった。

 ベガに始まり、アドマイヤムーン、ブエナビスタらを育ててきた松田博師もまた、凱旋門賞、そしてフランスに思い入れがあった。ゴールドリヴァーが勝利した33年前、調教師合格後の研修で訪問。現地では誰もシンザンの名前を知らず、乗り役の腕っぷしや何事にも動じない馬にも衝撃を受けた。「これがラストチャンスだろう。自分が(日本の調教師として)初めて獲れればいいなと思う」と願っていたが、その夢ははかなくも散り、レース後は「しゃーないな」とため息をついた。

 快挙はお預けとなったものの、まだ3歳と若いハープにとって、このフランス遠征はきっと今後に生きるだろう。経験を糧に、一段と強くなった女王の力が日本で見られるに違いない。

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