【皐月賞】キタサン大舞台で独演会だ!

 「皐月賞・G1」(19日、中山)

 “祭り”の準備は整った。トライアルのスプリングSを制し、3戦無敗のまま牡馬第1冠に駒を進めてきたキタサンブラックが15日、栗東CWで最終追い切りを実施。重い馬場も意に介さず鋭く伸びて、3頭併せの最先着を決めた。オーナーは40年以上も馬主を続ける演歌界の大御所・北島三郎。夢のG1初制覇を成し遂げ、大舞台を独演会にしてみせる。

 西の無敗馬が絶好調をアピールした。キタサンブラックは栗東CWで併せ馬。メイケイヘリオス(3歳未勝利)を0秒7、スノーストーム(5歳500万下)を1秒6追走すると、グングン加速してその差を縮める。雨の影響を受けた重い馬場も、3戦全勝の重賞ウイナーにはお構いなし。2頭の外を回り、手綱を押さえた余裕の手応えのまま、メイケイに4馬身、スノーに首差の先着を決めた。

 全体時計は6F81秒1-38秒3-12秒1。騎乗停止中の北村宏からバトンを受け、2週連続で追い切りに騎乗した浜中は「先週よりも良かったですね。動きがスムーズでした」。ゴール前でフワフワとして頭を上げた1週前追い切りとは違い、最後まで集中力を持続したことにホッとした表情を見せる。「北村宏さんから“乗りやすい”と聞いていたけど、イメージと同じでいい感触をつかめた。落ち着きがあるし、精神的に強い馬」と性能の高さにほれ込む。

 清水久師も満足げにうなずく。「遊ぶ面を見せたら気合をつけてほしいと伝えたけど、その必要もなかった。具合もいいし、何も心配事がない」と仕上げに胸を張った。トライアルを無敗で制し、有力馬として大舞台へ。「1コーナーでヨシッと思った。こうなれば、というレースになった」。前走のスプリングSをこう振り返ったトレーナーは「使うごとに競馬を覚えているし、1F延びるのも問題ない」とG1獲りに力を込めた。

 厩舎開業7年目で初めて挑む牡馬クラシック。北島三郎オーナーとは開業当初からの付きあいだ。「プレッシャーをかけられるようなことはないですね。“どうだ?”“よろしくな”って感じで。せっかくこれだけのいい馬に巡り合えたので、悔いのないようにしたい」と口元を強く結ぶ。浜中も「周りからは“勝ったら祭りやな”と言われます。馬を信頼していいレースを」と意気込む。『4・19中山公演』の主役は誰にも譲らない。

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