長谷川町子さん“幻の作品”発見
漫画「サザエさん」の作者、故長谷川町子さんが1940年前後に小学館の子供向け学習雑誌などのために描いた漫画や挿絵などの作品計139点が、4日までに同社の資料室で見つかった。作品を昨年、偶然見つけた同社社長室顧問の佐藤正治さん(66)は「戦時中も、長谷川さんが明るく、朗らかに生きる人々の日常を描いていたことをうかがわせる」と評価している。
40年の「せうがく三年生」掲載の漫画では「サザエさん」のカツオやワカメを思わせるキャラクターが、食べられるお菓子の数を競い合ってユーモラスな掛け合いをする場面も描かれている。
翻訳家村岡花子が41年、「国民5年生」のために訳した「カンタベリー物語」に添えられた挿絵には「長谷川町子・画」と署名があったが、西欧風のモダンな作風だったため佐藤さんは別人の作品と思っていたという。
その後の調査で39年~43年、当時19~23歳だった長谷川さんが、同社が出版した学習雑誌などに、多数の漫画や挿絵を描いていたことを確認した。
佐藤さんは「作品には、生きていればきっといいことがあるという長谷川さんの思いが込められている」と話した。約100点は11日発売の「長谷川町子の漫画大会」(小学館)に収録される。
