広島・坂倉 マー撃ち先制打!今季初スタメンで即マルチ! 痛恨サヨナラ6連敗も希望の光
「巨人4-3広島」(1日、東京ドーム)
広島は今季3度目のサヨナラ負けを喫し、今季ワーストを更新する6連敗となった。負の流れが止まらない中、明るい光を届けたのは、坂倉将吾捕手(26)だ。1軍復帰後初のスタメン出場で2安打1打点。初回には今季初安打となる先制適時打を放った。守備でも盗塁を2つ刺すなど攻守でチームを鼓舞。頼れる正捕手がチームのために全力を注いでいく。
次第に高まる期待を、最後は大歓声に変えてみせた。求められていた役割を、見事に遂行。坂倉は三塁ベンチに向かって右手を突き上げた。今季初安打は、貴重な先制適時打。チームは今季両リーグ最長の4時間39分の末に敗れたが、意地を示した。
初回2死一、二塁。フルカウントから相手先発・田中将の146キロを捉えると、打球は中前で弾んだ。相手右腕を後押しするムードが漂う敵地で、左翼スタンドの鯉党を熱気に包んだ。本人は「チャンスでしたし、粘って一本出たというのは良かったと思います」と淡々と振り返った。
これだけでは終わらない。四回は1死一塁で石川の直球を右前にはじき返し、マルチ安打を記録。得点にはつながらなかったものの、さすがの存在感を発揮した。
守備では初回1死一塁から二盗を試みたキャベッジを正確かつ素早い送球でアウトにした。さらに四回は、2死一塁で増田陸の二盗を刺して好機の芽を摘んだ。
2月26日、キャンプ最終日のノック中に右手中指を負傷。3月2日に病院で検査を受け、「右手中指末節骨骨折」と診断されて、開幕を2軍で迎えた。同4日に手術して4月3日にキャッチボール、同11日ごろには打撃練習を再開。一歩ずつ階段を上がってきた。患部には腫れが残るが「プレーには影響がないので、そこは受け入れて」と明かしていた背番号31。強い責任感と使命感が、自らの原動力になっている。
今カード初戦の29日に1軍復帰を果たし、同日は代打で二ゴロ。翌30日は2点を追う七回、1死一、二塁の好機に代打で登場して空振り三振。「実力で負けたという感じです」と試合後は唇をかんでいた。ただ、グラウンドに立っている以上は言い訳をしない。
「もちろん、いい投手が投げているから簡単に打てないのは分かっている。だからといって、期待されてグラウンドに立っているわけですから。そこで『調整が進んでないので打てません』は許されない。そこでちゃんと打てるように、しっかり練習からいい取り組みをして、いい打席を迎えられたら」と、中心選手の自覚を強めていた。
チームはトンネルから抜け出せないが、下を向いてばかりはいられない。「もう、勝つだけです」と短い言葉に力を込めた正捕手が、勝利への執念を燃やし続けていく。





