広島・矢崎 増額5600万円「2年前からしたら8倍くらい。そういう職業はなかなかない」 増額分は自己投資
広島の矢崎拓也投手(28)が5日、広島市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2800万から倍増となる5600万円でサインした。今季は自己最多の54試合に登板し、守護神も務めチームトップの24セーブ。年俸700万だった22年からわずか2年で8倍増。プロ野球ならではの夢を実現した右腕が来季は、さらなる活躍を誓った。(金額は推定)
冷静な口調でも、その言葉に喜びが詰まっていた。契約更改後に会見した矢崎は、大幅昇給を「夢がある仕事」と表現した。22年に700万だった年俸は一気に5600万円に跳ね上がった。
「2年前からしたら8倍くらいになるんですかね。そういう職業はなかなかない。非常にありがたいというか、夢がある仕事だなと思います」
今季は栗林離脱後、5月9日の中日戦から守護神を務めるなど自己最多の54試合に登板し4勝2敗、防御率2・81。リーグ4位の24セーブは、チームトップの成績だ。
「栗林がいない中だったり終盤のところを担ったところを評価してもらいました」
2016年度ドラフト1位で入団した当時は年俸1500万円。結果が出ずに減俸が続き21、22年は700万円まで下がった。それでも昨季セットアッパーを任されるなど47試合に登板し6年目で初の増額でサイン。今季は成長曲線をさらに伸ばし、存在感の大きさが倍増につながった。
増額分は自己投資に充てるつもり。「おいしいものを食べるのは、自分の心の豊かさにつながると思うので、そういうところに投資したり、体のケアだったりに投資するのが一番かなと思います」と白い歯をこぼした。
来季の守護神争いには注目が集まるが、右腕はこう言った。
「選ぶのは僕ではなく、栗林でもない。監督が選ぶことなので。切磋琢磨(せっさたくま)するというか、競争してチーム全体が強くなるのが一番」
自然体を強調する言葉が右腕らしい。3年前から座禅に取り組み、今季も登板前には必ず精神統一をしてきた。結果などに一喜一憂せず、今に集中するのみ。守護神争いも、その日にできることに全力で打ち込んだ先に待っている。
強固な救援陣の存在なくしてリーグ優勝は果たせない。来季はさらにたくましい姿でマウンドに立つ。「現状維持は衰退だと思う。もう一つ、自分のそもそも持っているボールだったりをレベルアップできるようにしたい」。淡々とした口調に頼もしさが詰まっていた。




