カープ新井監督 サヨナラ呼んだ執念タクト 羽月三盗→菊池スクイズで同点「すごく成長を感じた」
「JERA CSセ・ファーストS・第1戦、広島東洋カープ3-2横浜DeNAベイスターズ」(14日、マツダスタジアム)
勝利の瞬間、広島・新井貴浩監督(46)は一目散にベンチを飛び出した。両手を広げて喜びを爆発させ、跳びはねながら秋山の元へ駆け寄る。耐えて粘ってつかんだ、チーム一丸の勝利。「本当に頼りになりますね。技術と経験の詰まったサヨナラ安打だったと思います」と殊勲のヒーローを絶賛した。
見る者の心を揺さぶる積極タクトがさく裂したのは1点を追う八回だ。先頭のデビッドソンが四球を選び、すかさず代走に羽月を告げた。続く代打・矢野の犠打で1死二塁。菊池への初球に二走・羽月が三盗に成功すると、菊池のスクイズで同点に追い付いた。
羽月は「(相手)バッテリーは少しホッとしたんです」と状況を読み「フリーで行っていいよとサインが出ていたので思い切っていった。(菊池への)1球目でしかいかないと決めていた。恐怖心はない」と胸を張った。
レギュラーシーズンでチームが記録したスクイズは1個だけ。大一番で勝利への執念を体現し、無安打でスコアボードに貴重な1点を刻んだ。指揮官は「すごく勇気がいると思うけど、よくスタートを切ってくれた」と羽月を称賛し、「キク(菊池)も高めのボール球だったけど、よく決めてくれましたね」と拍手を送った。コイ将の積極采配が試合の潮目を変えた。
継投でも攻めた。2失点の先発・床田を六回1死で大道にスイッチすると、七回からは矢崎、島内、栗林とつないだ。延長に入ると九里をつぎ込み、十一回2死三塁のピンチではターリーを投入。左腕は林を空振り三振に斬ってピンチを脱し、直後のサヨナラ劇につなげた。「みんな役割を分かった上で、各自がやってくれた。すごく成長を感じたゲームだった」と新井監督。ファイナルS進出へ、臆することなく攻め続けていく。





