広島・野村の力投「北別府さんと重なった」安仁屋氏が病床からエール 復活へ太鼓判
広島OBでデイリースポーツ評論家の安仁屋宗八氏(78)が3日、広島・野村祐輔投手(34)にエールを送った。右腕は前回6月29日・DeNA戦で今季初登板初先発し、6回3安打無失点と復活を印象付けた。安仁屋氏は現在入院中だが、体調は回復。この日は病床から電話でねぎらい、今後のさらなる活躍に期待を寄せた。
テレビ画面を見ながら心が揺さぶられた。6月29日・DeNA戦(マツダ)。安仁屋氏は病室から野村の“開幕戦”をじっくり見守った。「祐輔らしいピッチングだった。球のキレもあり、右打者、左打者ともに内角への攻め方も良かった」。今季初先発で持ち味を披露した後輩の投球術にうなった。
先頭打者は一度も出塁させず、6回3安打無失点。三振は2つだったが、無四球と制球力を十分に駆使して強力DeNA打線を手玉に取った。「調子のいい時の彼は緩いカーブでカウントを取って、ツーシームと直球を投げ込む。(前回のような投球なら)どこのチームでも抑えられる」と太鼓判を押した。
力勝負で打ち取っていくタイプではない。だからこそ、制球力が生命線。時には大胆に打者の懐へ投げ込む場面もあった。「いい時の北別府のように打たせて取る。ズバッと内角も突く。北別府と重なったよ」。硬軟織り交ぜた野村の74球に、先月他界した北別府氏の現役時代を重ねた。
後を受けたターリーが同点にされ、野村の今季初勝利はお預けとなった。だが、示した力投は決して色あせない。安仁屋氏はこの日、電話で野村本人をねぎらい「いつかは勝ち星が付く。今年は最低あと10試合くらい投げる気持ちで、と伝えたよ」と話した。
通算79勝で、節目の100勝を射程圏に捉える。病床で試合を見ていると、野村のファンである看護師が投球結果を安仁屋氏に尋ねに来たこともあったという。「まだまだ老け込むのは早い。(100勝という)目標を持っているのは強みだから」と優しく背中を押した。
安仁屋氏自身の体調も、快方に向かっている。腰と腹部に激痛を訴えて6月23日に緊急手術。集中治療室(ICU)に入った期間もあったが、現在は一般病棟に移っている。「2日から、つえなしで散歩をしている」と回復具合は順調で、早ければ今月中にも退院できる見込みだという。「(カープの)みんなの顔を見て、声をかけるのが生きがいだからね」。明るい口調で、グラウンドに足を運ぶ日を心待ちにしていた。




