広島・菊池 自身4本目の先頭打者弾でヤクルト戦6連勝 「1番」けん引、交流戦へ「鬼門といわれていますけど、関係ない」
「広島3-1ヤクルト」(28日、マツダスタジアム)
広島の菊池涼介内野手(33)が自身4本目となる3号先頭打者本塁打でチームを勝利に導いた。初回無死。左中間席の最深部に突き刺した。五回には中前打でこの回の2得点をアシストし2安打1打点だ。今季から1番を担う男が勢いをつけ、チームはヤクルト戦6連勝。貯金を2とし、30日からの交流戦に臨む。
長い滞空時間の末にスタンドの鯉党が一斉に沸いた。初回、菊池が放った打球は、左中間席の最前列に飛び込んだ。左翼方向に吹いていた風にも乗った、自身4本目の先頭打者弾。アンダーソンに勇気を与え、勝利の道を切り開いた。
「そんなに手応えはなかったんですけど、本当に風があったからという感じですかね」
捉えたのは小川の外角高めの直球だ。「ちょっと合わせ過ぎた感じだった」と振り返ったものの、力強く振り抜いたからこそ打球が伸びた。代名詞でもある思い切りの良さが、試合の主導権をグッと引き寄せた。
新井監督は「キクの先頭打者ホームランも見事だった」と賛辞を贈った。
五回1死一塁では中前打で好機拡大。上本の左翼線への打球で、一塁から一気に本塁を駆け抜けた。一瞬でトップスピードに乗り、相手守備の隙を見逃さない走塁。今季チームが掲げる機動力野球を体現した。
今季は開幕戦こそ「8番」ながら、開幕2試合目から「1番」を担い続けている。つなぎ役が多かった昨季までとは異なり、出塁して好機をつくることなどが仕事になった。
「出塁も求められるところだし、出れば、今は走る側。一本で帰ってきたりと役割が逆。どういうことを求められているのかなと考えることがあるので、そのへんの難しさがあったりする」
偽らざる思いを言葉に変えた。それでも「何か新しい発見もある。日々勉強しながら、どうしたらいいのかなと考えながら野球をやっているので、楽しい」とも力を込めた。チームを引っ張る男が「日々勉強」するのだから、若手、ベテラン問わず一丸となれるのもうなずける。
チームはヤクルト戦6連勝で貯金を2とした。勢いに乗って30日のオリックス戦から始まる交流戦に臨む。昨季は5勝13敗で最下位に終わったが、「鬼門といわれていますけど、そんなの関係なく、一からフラットにいきたい」と全員の思いを代弁した。一丸で白星をつかみ取る。