黒田博樹氏「ここが本当のスタート」 広島入団選手にサプライズ訓示10分 闘争心に火をつけた

 新入団選手たちを前に話をする黒田アドバイザー(球団提供)
 本拠地のマツダスタジアムを訪れ見学した新入団選手(撮影・立川洋一郎)
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 広島の黒田博樹球団アドバイザー(47)が13日、マツダスタジアムを電撃訪問し、施設見学をしていたドラフト1位・斉藤優汰投手(18)=苫小牧中央=ら10選手に訓示した。約10分間、自身の入団直後の経験などを伝えた。レジェンドから金言を授かった若鯉は厳しい競争を勝ち抜き、活躍することを誓った。

 サプライズだった。マツダスタジアムの三塁側ブルペンに集まっていた新人選手の前に、突如表れたのは黒田アドバイザーだ。驚きを隠せない10選手を前にレジェンドは約10分間、自身の失敗談を踏まえながら訓示した。

 「自分自身、入団したときゴールテープを切ったような気持ちになっていたということもあった。ここが本当のスタートだともう一度頭に入れ、しっかり来年に向けて準備してほしいと伝えました」

 10日に沖縄での名球会イベント参加後、所用で広島入り。新井新監督の依頼もあり実現したアドバイザーとしての“初仕事”だ。

 新人選手は前日12日に入団会見を終えたばかり。それだけに「きょう厳しいことを言っていいのかと思った」。それでもこのタイミングだからこそ伝えたいことがあった。

 「このマツダスタジアムに一度も立てずにユニホームを脱いでいった選手もたくさん見てきた。そういうことも頭に入れてほしいなと。ユニホームを脱いでから気付いても遅いので、早めに多少なりとも僕から伝えられたらと思いました」

 20年の現役生活で日米通算203勝。日本でも米国でもプロの厳しさを肌で味わった。若鯉が夢を見て飛び込むのは弱肉強食の世界。戦いの幕開けを前に初心の大切さと準備の重要性を説いた。厳しくも熱いメッセージだった。

 偉大な先輩の言葉に10人は気持ちを新たにした。ドラフト1位・斉藤は「黒田さんもおっしゃっていたんですけど、1軍で投げて初めて親孝行になると。自分も思っていたこと。黒田さんの話を聞いてより一層、その思いが強くなりました」と力を込めた。

 同5位で、黒田氏を目標とする河野(大阪ガス)も「自分もここからが勝負だと思ってやっていけたら。勝ちにこだわり1試合でも多く1軍で投げられるように頑張りたい」と闘志を燃やした。

 黒田氏は「体がみんな大きいですし、しっかり話を聞いてもらえて僕自身、ピリッとした」と目尻を下げた。カープの未来を担う選手たち。ひたむきに白球を追いかけ続けることを願っている。

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