「諦めない大前提の中での若手躍動」 新井貴浩氏が指摘する今後のカープ注目ポイント

 広島は今季残り28試合。首位・ヤクルトとのゲーム差は11・5となり、逆転優勝はかなり厳しくなった。カープOBでデイリースポーツ評論家の新井貴浩氏(45)は、それでもファイティングポーズを取り続ける戦いを求めつつ、一方で若手の台頭もファンの楽しみとなるなど、残り少なくなったシーズンでの注目ポイントを指摘した。

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 オールスターを挟んでの7連敗がここへ来て響いてきたカープだが、中でもその連敗中の床田の故障離脱は、先発陣の中で最も安定した力を発揮していただけに、確かに痛かった。その後も大瀬良の不調や、新型コロナ感染などベストの布陣が組めない時期も続き、なかなか波に乗れないまま今に至っている。

 大目標である優勝という観点に立てば正直、難しい状況であることは間違いない。ただ、それでも可能性がある限りは諦めないというのが大前提だ。その上で、例えばここまでヤクルトがそうであったように、若手、ベテラン、さらに外国人というチーム構成のかみ合わせがうまくいけば、勝てる可能性は増すだろう。

 一方で、これはカープに限ったことではないが、故障者が出る、新型コロナにより一時離脱を余儀なくされる、という状況となれば、次善の策を講じる必要がある。当然、1軍経験の少ない若手選手の出場機会が増えてくるが、「諦めない」という大前提の中でそうした選手が躍動する姿は、ファンにとっては楽しみの一つであり、また中長期的に見ればチームとしても大きなプラスを得られる可能性もある。

 例えば19日のDeNA戦で、「2番・二塁手」として先発した羽月は九回2死一塁で打席に立つと、カウント2-2からバットを短く持って6球ファウルで粘り抜いた。結果は遊ゴロで最後の打者となってしまったが、5点を追う苦しい展開で入江に食らいついていった姿は気持ちが伝わってきたし、羽月本人にとっても大きく経験値を高められたはずだ。

 やはり、1軍の舞台で立つ1打席、出場する1試合は2軍でのそれとは全く違う。打者なら相手投手、投手であれば相手打者のレベルを肌で感じることがとても大切で、ここでの経験は成長曲線を大いに右肩上がりのものとしてくれる。

 そしてもう一つ。是が非でも3位以内は確保し、クライマックスシリーズ(CS)に進出してもらいたい。カープの試合を少しでも長く楽しみたいと思っているファンのためにも、ポストシーズンまで戦い抜いてほしい。

 同時に1軍経験の少ない若手のみならず、小園らレギュラークラスの選手にもCS未経験者がいる。あのヒリヒリするような短期決戦の雰囲気、難しさというものを感じてほしいと思う。

 若い選手にとって、無駄なことなど何一つない。結果が出ようが出まいが、ミスしようが1軍の舞台はすべてが糧となって成長を後押ししてくれる。そのがむしゃらな姿が見られるなら、残り28試合は非常に価値あるものとなり、また同時に来季以降への期待も高めてくれるはずだ。

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