広島育成4位・坂田 ナックルボールで恩返し 一昨年に心臓手術 毎日100球投げ込み習得

 広島に育成4位で入団した坂田怜投手(22)=中部学院大=は、一昨年3月に受けた心臓手術を契機にナックルボールを習得し、プロへの道を切り開いた右腕。1軍でナックルボーラーとしての夢を実現させることを誓った。

 困難を乗り越え、坂田はプロの世界に飛び込んだ。昨年12月の新入団発表でユニホームに袖を通し「ナックルボールのおかげで今、ここに立てている」と実感を込めた。

 一昨年の3月。突然、胸の痛みを訴え、病院で心臓の手術が必要だと言われた。大動脈の根元が膨らんで破裂する「バルサルバ洞動脈瘤(りゅう)破裂」と診断され、同4月15日に手術を受け、25日に退院した。

 87キロだった体重は82キロまで落ちた。胸骨を切ったことで、最速も143キロから130キロ台まで低下。新たな武器を習得するため、中部学院大の前監督、原克隆氏からナックルボールを覚えることを勧められた。

 ナックルボールは肩への負担が少なく、投げ始めた頃は毎日100球ほど投げ込んだ。動画サイトでの研究も惜しまなかった。手術後は実戦登板から遠ざかったが、最終学年の昨秋、1試合に登板。大学時代の公式戦登板は計6試合と決して多くはない一方、独特の軌道で揺れ動く球がスカウトの目に留まった。

 新人合同自主トレでも連日ブルペン入り。「投げていると、日に日に良くなってくる。毎日続けてやっていきます」と、ベース上で動きながらその範囲に収まる球を求めて精度向上に励む。ブルペンでは横手から投げる時もあり、その意図を「ここ(上手投げ)だけだと打者もだんだん慣れてくる。不意に横(投げ)だと変化も違うし、タイミングをずらせる」と明かした。

 日本球界には過去、ナックルボール主体の投球で長く活躍した選手は少ない。メジャーリーグでナックルボーラーと言えば、ニークロやMLB通算200勝を達成したウェイクフィールドの代名詞。坂田も「ウェイクフィールドを目標に」と背中を追っていく。

 周囲の人々に支えられた感謝を胸に、活躍することでの恩返しを誓う。「日本ではナックルボールは(成功)できないと言われているけど、球団とファンの皆さんもロマンを感じていると思う。一緒にかなえていけたらなと思います」。壮大な夢へと突き進み、多くの人に勇気を与える。

 ◇坂田 怜(さかた・れい)1999年9月13日生まれ、22歳。埼玉県出身。188センチ、90キロ。右投げ右打ち。投手。正智深谷、中部学院大を経て2021年度育成ドラフト4位で広島入団。20年3月に心臓手術。ナックルボールの使い手。

 ◆ナックルボール 親指と小指をボールの縫い目にかけないようにして、人さし指、中指、薬指の指を折り曲げて握るか、爪を立てて握る。そうやって投げることで回転数が減り、不規則な変化が大きくなる。

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