佐々岡カープ 「誤算と収穫」守護神確立も栗林への継投パターン課題に【検証連載1】

 広島は63勝68敗12分けの4位でシーズンを終えた。借金は5を数え、3年連続のBクラスとなった。5月中旬に新型コロナウイルス陽性者が出たことで先発陣に戦線離脱者が続出。その結果、6月は6勝16敗3分けと大きく負け越した。本日から3回にわたる連載では佐々岡カープ2年目の課題と収穫を検証。初回は今季の投手陣を振り返る。

  ◇  ◇

 5月中旬にチームを襲った新型コロナウイルス。中でも投手陣が、その影響を強く受けた。4月中旬に右ふくらはぎを故障した大瀬良を含め、陽性判定を受けた九里、濃厚接触者の森下、高橋昂が戦線離脱。大量4人が先発ローテを外れる非常事態に陥った。

 柱を失った先発陣は交流戦で18試合連続未勝利。野村、ネバラスカス、薮田、矢崎、玉村らが登板機会を得たが、結果を残せたのは玉村だけだった。

 選手層の薄さが露呈した前半戦。対照的に東京五輪をはさんで臨んだ後半戦では大瀬良、九里、森下、床田、高橋昂、玉村が先発ローテを守った。「優位に立つためには、先発がしっかり試合をつくるのが基本」と佐々岡監督。若手は我慢の起用もあった。それでも粘り強い投球が試合を前へと進めていった。

 昨季まで守護神の確立が懸案事項だった。その役割を全うしたのが栗林だ。本拠地では全27試合で無失点の“無双”状態。37セーブは、15年にDeNA・山崎康が記録した新人最多セーブのプロ野球記録に並んだ。

 一方で栗林へどうやってつなぐかが課題だった。開幕からの勝ちパターンは大道、ケムナ、塹江など複数の投手から起用した。ただ、長いシーズンで継続してベストな体調を維持するのは決して簡単ではなかった。

 「こんな炎天下で走らせて調子が上がるのだろうか」

 夏場の2軍練習。中堅投手について、こんな言葉が聞かれたことがあった。

 選手によって立場や置かれた状況は違う。それでも疲労が原因で本来のパフォーマンスを発揮できない投手については、コンディション維持や疲労回復などを優先させ、早期に調子を取り戻させなければならない。

 ヒントは2・5軍にあった。昨年、育成強化を目的として新設された部門。若手の技術指導などが主なテーマながら、今季は登録抹消になった選手のコンディション調整に活用したことがあった。

 9月9日に抹消されたコルニエルの場合、同月21日に再昇格するまでウエスタンでの登板は2試合のみ。2軍本隊からも離れ、じっくりと調整した。心と体のリフレッシュが最大の目的だった。

 今季チーム防御率はリーグ5番目の3・81。巻き返しを図る来季は、さらなる改善が求められる。「勝利の方程式」メンバーの固定を理想とした上で、個々にあった練習や調整方法などで、現有戦力のパフォーマンスを落とさずにシーズンを戦うことが、安定した結果につながっていくはずだ。

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