江草、涙のラスト登板 最後は古巣阪神と甲子園で…狩野と直球勝負

 広島ナインから胴上げされる江草
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 「ウエスタン、阪神4-4広島」(27日、甲子園球場)

 今季限りで引退を表明している広島・江草仁貴投手(37)が27日、引退試合としてウエスタン・阪神戦(甲子園)に登板した。八回にマウンドに上がり、同じく引退試合だった狩野と1打席真剣勝負。全球直球を投じ、結果は左翼線へ二塁打。試合後は両チームからそれぞれ胴上げが行われ、笑顔で15年のプロ生活に幕を閉じた。

 大歓声と拍手に包まれながら、江草は小走りで最後のマウンドに上がった。八回、打者1人だけの限定登板。打席には同じく引退試合を迎え、阪神時代に女房役を務めてくれた狩野がいた。「我慢しようと思っていたが、マウンドに上がった時から怪しかった。うるうるしていて」。必死に涙をこらえ、かつての盟友へこん身の力で臨んだ。

 初球、134キロ直球で空振りを奪った。フルスイングの相手に、全球直球の力勝負で応戦した。そしてカウント2-1からの4球目、ミットを目掛けて力一杯投げ込んだ直球は、左翼線へはじき返された。もちろん悔いはない。投球後、二塁に到達した狩野と固い握手と抱擁を交わした左腕。ベンチに引き揚げる際には、目から大粒の涙がこぼれ落ちた。

 「ガチンコでいってきれいに打たれましたね。あれだけ気持ち良く思いっきり振っていたら、こっちも思いっきり投げてやろうと思って」

 15年間のプロ野球生活。阪神、西武、広島と渡り歩き、13年には左肘を手術。決して平たんな道のりではなかったが、「今日が一番楽しかった」と充実感に満ちていた。

 試合後、スタンドからの「江草コール」の中、両軍からそれぞれ胴上げされるサプライズ。計9度、宙を舞った。万人から愛された男。最後は満面の笑みで締めくくった。

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