前田智、初実戦で貫禄打!永川撃ち

 「広島春季キャンプ」(20日、日南)

 代打の神様は今季も元気だ!!広島・前田智徳外野手(41)が20日、シート打撃で永川勝浩投手(32)から一、二塁間を抜く右前打を放った。今年初の実戦でいきなり“貫禄打”を放った後は、1人黙々と外野をランニングするなど、今キャンプは不安を抱える下半身にも問題がなく、順調に調整を続けている。野村謙二郎監督(46)もカープの侍に全幅の信頼を寄せる。

 41歳、しぶとい当たりだった。打球は一、二塁間を強いゴロで抜けた。初実戦となる前田智のシート打撃2打席目。復活を期す永川勝に対し、1球も振らずカウント1‐2と追い込まれたが、眼光鋭く4球目の直球に反応し、力負けせず“2013初安打”を放った。

 バリントンに対した第1打席こそ二飛だったが、2打数1安打。「(ほかの野手と)実力差を感じました」と、一振りで新井打撃コーチを感心させた。

 今年は32年ぶりに1、2軍がそろって日南でキャンプをスタートしたが、下半身に不安を抱える前田智は2月1日をずっと日南で迎えていた。慎重に独自調整を続け、別メニューで室内にこもり1~2時間もマシン相手に打ち込んだ。この日は全体練習で走塁練習もじっくりこなし、最後は1人でグラウンドを約30分も黙々と走り続けた。

 野村監督は「前田に関しては何も心配していない。いつも室内から音が聞こえると前田がやっているんだろうな、と思う。1人、黙々と誰より練習している」と、全幅の信頼を寄せている。

 今年はランニングメニューが例年以上に多い。昨年までは足の状態を考慮され、塁に出れば代走が送られていた。指揮官は「代走のこととか考えて、チームに負担をかけないように頑張ってくれているのだろう」とベテランの姿勢をたたえた。

 前田智は「何とか人並みに走れるように」と、少しでも自らの足で走りたい思いを口にしてきた。練習後は「私は何も分かりません。(1軍)枠がもったいないです」と、いつもの前田節で多くを語らなかったが、今季は走塁面もチームに貢献する考えだ。

 昨季は代打のみで打率・327、19打点と無類の勝負強さを発揮。それでも昨オフの契約更改時には、CS争いさなかの9月に好機で凡退したことを悔いた。「年に2~3回は状態が悪くなる。2回を1回にあわよくばゼロにしたい」。通算2115安打の孤高の天才は、23日からの沖縄には帯同せず、日南で27日までフルシーズン戦う体を築き上げていく。

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