「ソフトバンク６－１楽天」（１２日、ペイペイドーム）

　ソフトバンクはスピーディーな試合展開で３連勝。２時間２８分の好ゲームを演出したのは７回１失点で２勝目を挙げた石川柊太投手だった。

　持ち味はテンポのいい投球だ。投球間隔が短い。１１秒台前半ならばプロ野球では短い方だが、石川の場合は９秒台をマークすることもある。

　そして、ストライクをどんどん投げ込む。この日は７回で１１三振を奪う中、投球数は９１球に収めた。無駄なボール球がほとんどない。

　野手もそのリズムに乗せられて得点を重ねる。いいこと尽くめだ。

　周りから感謝されることも多い。ただ、この日は一段と嬉しそうだった。試合後、石川はニヤリと笑った。「今日、１８時半からオンラインでライブ配信があるんです」。石川は配信者ではなく見る側だ。大好きな人気アイドル「ももいろクローバーＺ」の無観客ライブ配信のことを指していた。

　「今日は（百田）夏菜子ちゃんの誕生日ですから」。それは一人のファンの笑顔だった。球界きってのモノノフ（ももいろクローバーＺのファンの総称）の石川は「あーりん寄りの箱推し」を公言している。マウンドでそんなことを考えていたわけはあるまいが、芸は身を助けるとはこのことか。今夜は自身の勝利に浸りながら至福の時間をゆっくり過ごすつもりだ。