秀岳館・竹輪、仲間の思い込められたグラブでビッグプレー

 「全国高校野球選手権・2回戦、広陵6-1秀岳館」(17日、甲子園球場)

 守備位置に就き、グラブに視線を落とす。刺しゅうで記された「ちばりよ」の4文字。ケガでベンチ入りできなかった仲間の顔を思い浮かべ、秀岳館・竹輪涼介外野手(3年)は「アイツの分まで頑張ろう」と誓った。

 6月初旬。中堅の藤本舜外野手(3年)が練習試合中に左膝を骨折した。今春センバツ4強に貢献した主力の離脱。代役として、控え二塁手の竹輪に白羽の矢が立った。

 器用さが買われたが、外野の経験は一度もない。グラブも内野用しか持っていなかった。不安を抱えていると、「お前ならやれるよ」と夏の大会出場が絶望的となった藤本からグラブを渡された。沖縄の方言で「頑張れ」を意味する言葉が目に入った。藤本が好きなフレーズだった。

 「『日本一になってくれ』という思いを託されたと感じました」

 藤本がアルプス席で見つめる広陵戦。竹輪はビッグプレーで聖地を沸かせた。二回1死二塁から相手7番打者が放った中前打をグラブに収め、矢のようなバックホーム。ワンバウンドのストライク返球で二塁走者を刺した。

 試合は1-6の完敗。全国制覇には届かず「藤本の思いに応えられなかった。ごめん、と言いたい」と竹輪は悔し涙を流した。アルプス席の藤本は「自分の代わりにセンターでいいプレーを見せてくれた。ありがとう、と言いたい」。グラブに込めた願いは、竹輪がかなえてくれていた。

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