亡き従兄弟との約束果たした甲子園 聖心ウルスラ学園三塁コーチ・浜内

 「全国高校野球選手権・2回戦、聖光学院5-4聖心ウルスラ学園」(16日、甲子園球場)

 聖心ウルスラ学園は3点リードから逆転負けを喫し、3回戦進出はならなかった。

 三塁ベースコーチを務めた浜内侑良(ゆら)内野手(3年)は大阪出身で、同校野球部唯一の県外生。志半ばで亡くなった従兄弟への約束を果たして、つかんだ甲子園出場だった。

 中学時代は軟式クラブチームのエースだった浜内。身近で刺激となっていたのが、同い年の従兄弟、崚雅(りょうが)さんだった。アルペンスキーの有望選手で、大阪府下の強豪校に進学する腕前。会えば近況を報告し、互いに励まし合った。

 「よく会っていたし、自分も頑張らなアカンなと思っていました」。だが、突然の別れが訪れる。中2の9月、交通事故に遭った仲良しの従兄弟は、13歳で帰らぬ人となった。

 葬儀に参列すると、浜内は崚雅さんの両親に声をかけられた。「崚雅のためにも、甲子園に出て」。託された思いを力に変えた。中3時は春夏と大阪大会で優勝し、近畿大会でも準優勝。そして、夢の聖地を目指して門をたたいたのが、故郷から遠く離れた宮崎の聖心ウルスラ学園だった。

 想像以上に厳しい練習に、初めて親元を離れて経験する寮生活。「洗濯も自分でやるし、掃除もそう。先輩にいろいろと教えてもらいました」と苦戦しながら、何とかこなしていった。唯一の県外生という状況も、関西人らしいノリと明るさを前面に出し、周囲に溶け込んだ。

 レギュラーにはなれなくても、2年秋からは三塁ベースコーチとしてベンチ入り。「勉強もよくするし、自分で努力する子」(近藤洋次部長)という姿勢で、チームに欠かせぬ存在となった。そして最後の夏、聖地の土を踏んだ。

 1回戦では同校の甲子園初勝利を挙げたが、2回戦は惜敗。浜内は「甲子園はいいところも悪いところも出る場所。でも、最高でしたね。みんなが目指す理由がわかった気がします」と目を赤くしながら、夢舞台を振り返った。

 実家には、亡くなった崚雅さんと2人で撮った写真が、大切に残してある。「甲子園に行ったよと報告したい」と浜内。約束を果たし、大学で経営学を学ぶという新たな目標に向かってスタートを切る。

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