神様っているんだな…脳腫瘍で死を覚悟、オリ山崎福“夢先生”が伝えたかったこと

 「夢の教室」として、プロ野球選手やJリーガーらが小学校の教壇に立つ取り組みが行われている。オリックス・山崎福也(さちや)投手(24)も12月13日に京都府八幡市のさくら小学校5年1組で、“夢先生”になった。山崎福が子どもたちに語った「夢をあきらめない」珠玉のエピソードとは…。

 プロ2年目ながら初々しさの残る山崎福が先生をする。どんな先生ぶりを見せるのかというよりも、ちゃんとできるのだろうか?という心配の方が先に立った。

 ユニホーム姿で子どもたちの前に現れると第一声は「さっちゃん先生と呼んでください」だった。大丈夫か?と思ったが、子どもたちにはウケた。すぐにワー、キャー言う子供たちに囲まれた。やはりスポーツ選手、体を動かすゲームで、すっかり溶け込んでいた。次はいよいよスーツに着替えて教壇へ。緊張がこちらにも伝わってきたが、心配したのはそこまでだった。

 「小学3年で野球を始めました。すぐにプロ野球選手になりたいと思いました。一生懸命練習してレギュラーになって、中学でも活躍しました。日大三高に進学が決まったときはうれしかった」

 「でも、入学前にお母さんに“寮に入る前にこの際だから全部検査しておこう”と言われました。普通なら健康診断だけなのに脳の検査も受けることになった。イヤだって言ったんだけど。そこで検査したら脳腫瘍が見つかった」

 「脳腫瘍って分かる?がんみたいなもの。死んじゃうかもしれない病気。大好きな野球もできないって言われて。つらくて、心配してくれる家族にも申し訳なくて。手紙も書こうと思ったくらい。お別れのね」

 話すほどに、あれだけざわついていた子供たちが静かになった。聞いているこちらも引きつけられていった。

 「手術が成功して、うれしかった。それが2008年の3月21日。その日のうちにベッドの上で腹筋とかしてた。早く野球やりたかったから」

 「入院していたから高校に入ったら体力が落ちていた。みんなと差がついていたけど、人より早く練習を始めて、終わった後も練習したらレギュラーになれた」

 「3年春のセンバツで初戦が2010年3月21日(山形中央戦)だったの。手術からちょうど2年後。甲子園のマウンドに立って空を見上げたとき“ああ神様っているんだな”ってあのとき思った」

 「みんなもね。つらいこととかうまくいかないことあると思うんだ。そんなときは逃げるんじゃなくて向き合ってね。神様はきっと見ていてくれるから。あきらめずに頑張ってください」

 長い長い拍手に、はにかむ山崎福。なんともいい時間だった。

 終了後「どうなるかと思いました。先生ってすごいですね」。子供たちだけでなく、大人たちも感動させた“さっちゃん先生”はそう言って笑った。

 まさしく「夢の教室」。授業を聞いた生徒たちだけでなく“夢先生”の成長にもつながる。こんな取り組みがさらに広がることを願う。

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